【10.02.01】「全社一丸でこの不況を乗り切ろう」

第3回幹事会(1/14~15)での問題提起をもとに

中同協(中小企業家同友会全国協議会)では、第3回幹事会(1/14~15)時に、大野栄一・中同協経営労働委員長より、自社のセルフ・アセスメントを行い経営課題を明確にする「企業変革支援プログラムステップ1」の約1000社の回答をもとに問題提起がありました。

その上で、現在の厳しい経営環境に対応する上で、特に重点的に点検する項目を幹事会として提示すべきではないかとの提案があり、幹事会2日目冒頭では、アピールを作成することを決め、このほど発表しました。

本アピールは、中同協のホームページ「DOYUNET」に掲示するほか、「中小企業家しんぶん」や中同協のメールマガジン「DoyuNews」でも配信されます。

各同友会に対しては、昨年1月に発表した「緊急アピール」と同様に、全会員に届けるよう、呼びかけています。

中同協第3回幹事会アピール(本文)

2010年1月31日
会員のみなさんへ訴えます!
今こそ経営者としてのリーダーシップを発揮し、
全社一丸でこの不況を乗り切ろう

中同協第3回幹事会アピール

 昨年1月、中同協幹事会では緊急アピールを出し、世界的な経済危機に対処する企業づくりを訴え、「一人で悩まないで」と全会員に呼びかけました。製造業の仕事が8~9割消えた状態から現在多少持ち直しているとはいえ、中同協の景況調査によれば、全国的に流通・サービスにまでその影響が広まっています。

 1月に開かれた中同協第3回幹事会では、「企業変革支援プログラムステップ1」の集計結果の分析から今後どのような企業づくりをするのかが問題提起され、グループ討論も行い、全国の経験を出し合いました。その中でまとめられたことは、全国の会員企業の1年間の取り組みを通じて、同友会の先輩たちが厳しい経験を通じて明らかにした「労使見解=人を生かす経営」の実践こそ、危機突破、困難を乗り越える確かな力ということでした。このような企業づくりを可能にする同友会づくりをすすめるとともに、会員のみなさんに、次のような企業づくりを呼びかけます。

1.収益構造の改善~経営者はリーダーシップを発揮しよう

この不況を乗り切るためには、以下の3点を確実に実践していくことが大切です。
(1)雇用調整助成金なども活用して雇用を守ることを基本にしながら、人件費以外の経費を削減し損益分岐点を下げること。
(2)この損益分岐点を上回る売上アップに執着すること、そのためには、既存顧客の洗い直しと分析とあわせて、全員営業で小さな仕事をつくりだすこと。
(3)上記を全社的に展開する上で、全社一丸体制を築くこと。
このすべてをやらないと会社はよくならないし、不況を乗り切れません。そのために経営者は強い意志を持ってリーダーシップを発揮していきましょう。

2.現状認識の共有~全社一丸体制で社員の知恵と力で新しい仕事づくりを

 本格的な回復基調に企業をのせるためには、新しい種まきが必要です。顧客に直接対応し、お客様の情報を持ち、状況を肌でつかんでいるのは社員です。「企業変革支援プログラムステップ1」などを社員とともにとりくみ、現状認識を共有し、あるべき姿との差を経営課題と考え、社員と議論し、全社一丸となって取り組み、弱みを改善して、強みをより強化し、地域や仕事を深く耕し、新しい仕事づくりに挑戦していきましょう。

3.一人で悩まないで~同友会の仲間と実践的な学びあいを

 同友会の例会では、実際の経営方針や計画を具体的に出しあい、進捗状況を確認し励ましあいましょう。経営に「完成」はありません。一時の売上や利益などの数値に一喜一憂することなく、経営者としての自信と誇りを持って経営改革に挑み、常に謙虚に学びあいましょう。また、会員訪問も相互に積極的に行い、地域にある企業を1社もつぶさないよう、同友会の連帯の輪をさらに広げましょう。

4.「企業変革支援プログラムステップ1」を活用しましょう

「企業変革支援プログラムステップ1」は、同友会の理念と実践のエッセンスがまとめられたものです。約1000社集計分析から次のような傾向が明らかになりました。

(1)積極的な側面…自社の経営の主要数値の正確な把握や苦情対応や顧客との関係強化などは仕組みとしてつくられつつあり、同友会で学んで経営者の自己変革を図りながら、社員との信頼関係を構築し、経営理念の成文化と社内での共有を進めている点です。

(2)消極的な側面…新事業への取り組みや間接部門の合理的な運営ができておらず、経営方針と経営計画の実行やその進捗状況の共有、共に学び共に育ち合う社風づくりも弱いなど、経営実践の弱さが指摘されます。また、同友会で理論は学んでも、実践が弱いため、市場や顧客への対応力が弱く、成果に結びつけるための付加価値を高める仕組みが不十分という結果がでています。

 同友会運動の蓄積が生み出した企業づくりのものさしとして「企業変革支援プログラムステップ1」を大いに活用し、この時代をともに乗り越えていきましょう。