【岩手同友会】描いた未来は、どんなことがあっても実現する

描いた未来は、どんなことがあっても実現する(2011.03.17)

現地1
全国の皆さま本当に有り難うございます。

 全国の皆様のあたたかいお心遣いに、何と申し上げて良いのか、言葉が見つかりません。
全国からの救援物資第一便が、本日8時に岩手に到着しました。そして第2便は、秋田同友会からの直送便です。秋田を発ったトラックは途中、1カ所荷下ろしすることが分かっていました。その場所で待ち構えていた秋田同友会の方々が「トラックを一杯にして送り届けなきゃ」と、自社で出せるものを目一杯積んで、盛岡に送り届けてくださいました。その精一杯の気持ちに胸が熱くなりました。
恐らく、全国の皆さん一人ひとりがそんなお気持ちで応援してくださっているのだと、伝わってきます。

私たちが引き継いだもの

現地2
 今日、震災後初めて、岩手同友会から一人の若い命が失われたことがわかりました。彼は、中小企業家しんぶん 2009年7月5日/1117号/8面【会員増強は豊かな社会創造の力-2010年5万名会員をめざして】67「地域の危機に黙ってはいられない~逆境を糧に大きなうねりへ」で紹介した29歳の文具店後継者です。以下新聞を抜粋して紹介します。

 ・・・気仙支部の特長は、20代の若手経営者から60代のベテラン経営者まで、いつも一緒に語らう姿があることです。若手はシャッター通りの商店街を1軒1軒まわり、例会のチラシをどんな小さな店舗にも配ります。『地域を変えるのは皆さんです!』と若手が地域を走り回り、市民一人ひとりに呼びかけました。そんな粘り腰をじっと見守るのは、父親の年齢のような経営者。差し迫った危機感の中に、笑顔とゆとりが漂います。・・・シャッター通りの商店街を、例会のチラシを持って「地域を変えるのは皆さんです!」と走り回っていたのが彼です。今年2月、開講したばかりの第7期経営指針を創る会の受講生の一人として決意し、経営者として歩み始めたばかりでした。大津波警報が響き渡る中、自分よりもお年寄り、と消防団の半纏を着て地元住民を避難誘導していた姿が最後でした。
 でも、悲しんでばかりいられません。その遺志を引き継ぐのが私たちです。彼の願った地域の姿はどんな絵だったのか。それを現実に、この地に再生すること。私たちは重い、命のバトンを引き継ぎました。

ぜひ町のみんなで面倒みたい

現地3
 葛巻町の鈴木重男町長本人から、直接電話が来ました。鈴木さんは町長になる前、岩手同友会の農業食糧生産部会長でした。
「今度の19日、避難所の高田第一中学校へ、町を挙げて『ひっつみ汁』(水団汁)をつくりに行きます。少しでも温かい料理と、新鮮な牛乳を飲んでいただき、心を温めることができるなら。事務局も一緒に行きませんか」とのお誘いでした。
そして「呼びかけて欲しい」とお願いされました。「子ども達を受け入れたい。親御さんや家族を失ってしまった子ども達を、私たちの葛巻へ連れてきてください。ぜひ町のみんなで面倒見たい」
 危機に思い出すのは、やはり同志です。鈴木さんも、私たちと同じ方向を見ていました。

食料、水、そして燃料が命

現地4
 盛岡をはじめ県内では今、ガソリンや軽油が全くなくなり、復興へ向けた動きが止まっています。また店頭には食料品や様々な物資が消え、仕事ができないため、多くの企業では社員を自宅待機にし、町全体が静まりかえっています。
だからこそ何よりも、今まさにトラックで輸送中の、全国同友会の仲間からの心のこもった軽油は「復興の希望の光」です。救援物資を配送するにも、重機を動かすにも燃料がなければ、動けません。「動きたい」でも動けない。
 「1,000 リットル?本当か。それはそれは有り難い。同友会ってなんて会なんだ。ポリ容器を今受注してつくってくれてるってよ。そんなことってあるのか」携帯電話の向こうから聞こえる高揚した田村支部長の声。そのまわりには、支部会員の何人かが、囲んでいるのがわかります。「その軽油はいつ到着する?どんな方法をとってもいいから、1時間でも早く持ってきてくれ。燃料さえあれば、復興へ動き出せる。いただいた物資は、俺たちが責任を持って配送できる」

 「どうも」と元気に割り込んできたのは八木澤商店、河野専務さんでした。地震後私との初めての会話でした。「ぜーんぶドライビングスクールへ持ってきてください。大丈夫です。任せてください」力強く話してくれました。
前述の新聞の記事と同じ光景が、街がなくなった今も全く変わらず続いています。形は無くなったけれど、形のないものは、震災以前と何にも変わりません。すでに皆さんの頭には、未来図はあるようです。

復興は中小企業の力でこそ実現する

 私たち事務局4人は、震災後変わらず確認してきたことがあります。
たとえどんなに今回の震災で会員が減ろうとも、描いてきた「2011岩手同友会20周年を600名で迎えよう!」の旗は掲げ続けよう、と。
 むろん同友会の歴史が証明していますが、「復興は中小企業の力でこそ実現する。中小企業が牽引してこそ前進する」とこの数日間で心から確信しています。食料も十分になく、生活環境も整わない中でも、重機の燃料や配送移動する車の燃料ばかりを気にする経営者。その心の先に未来があるからできることです。ささやかながら共に肩組みあって、その未来図を必ずや現実のものにしたいと思います。

岩手同友会ホームページ http://iwate.doyu.jp/news/110318-081717.html