同友会ニュース

【20.03.24】<寄稿>新型コロナ対応借入元金支払猶予で「止血」を (有)財務経営サービス 代表取締役・税理士 中村 健一郎(宮崎)

 30年余にわたり税理士業務などを通じて、多くの事業再生の相談に乗ってきた中村健一郎氏(宮崎同友会創立メンバー)からの寄稿を紹介します。

 新型コロナウイルスの影響による売上急減などで顧問先からの深刻な相談も増えてきました。

 そこで資金繰りに不安を抱えているみなさんに、以下4つの救急救命策をご提案します。

1、向こう2カ月間の資金収支見込を経営者が即時につかむこと。
2、打てる手立ては、即、尽くすこと。
3、銀行には、毎月の借入元金支払猶予での止血策と新規融資の両策を検討してもらうこと。
4、関係官庁には本件で借入元金支払猶予の決断をした銀行を支援するよう声を上げましょう。

1、向こう2カ月間の資金収支見込を即時につかむ

 1カ月遅れの月次試算表や経理担当者任せでは間に合いません。また、経営者自身の勘だけではブレます。下記の7つの手法(表参照)で、向こう2カ月間の資金収支見込みを、即座に算定できますのでお試しください。

表 向こう2カ月間の資金収支見込の算定

(1) 預金残高を概算で把握

(2) 月平均の(人件費+物件費=固定費)を把握

(3) (1)÷(2)=手元預金の対粗利益額比率を算定
(通常は、1カ月分は下限、2カ月分は良好、3カ月分は優良ですが、コロナ禍で売上が激減すると、3カ月分でも危険です)

(4) 向こう2カ月間の粗利益額の予想額算定=(月商−月仕入・材料費・外注費=月粗利益額)×2カ月分

(5) 運転資金の収支予想額=向こう2カ月間の売掛金回収可能額+在庫換金削減可能額―買掛金・支払手形の要支払額

(6) 向こう2カ月間の借入金等の要返済額

(7) 向こう2カ月間の資金収支計算
(1)―((2)×2)+(4)+(5)―(6)=2カ月後の預金残高予想額

2、打てる手立ては、即、尽くしましょう!

(1)以上の概算値をはじき、銀行へ証書借入金の元金停止策と新規融資策を相談。
(2)返済期間のない当座貸越枠活用・5年後一括返済借入金制度などの相談。
(3)役員報酬は、生活費必要額の1.5倍まで削減。
(4)不要不急の資産の早期処分換金。
(5)支払いサイトを延ばすお願いが可能な取引先に相談(10日間の支払いサイト延期で、月払いの3割近くの真水資金を確保できます)。
(6)雇用調整助成などの手続き。
(7)上記の手立てでも資金ショートするならば、新規借入増を銀行と保証協会へ依頼。
(8)給与カットは厳禁、リストラは最終策です。そうならないよう社員の協力を得ましょう。
(9)信販キャッシング・闇金・融通手形などは厳禁。
(10)友人・知人・親戚などからむやみにお金を借りることも避けましょう。

3、銀行には、毎月の借入元金支払猶予での止血策と新規融資の両策を相談しましょう

 新規借入増は、先々の毎月の元金返済額と支払利息などが増加します。毎月の支払利息のみを払い、既存借入金の元金返済猶予ならば銀行の損益への影響は最小限で済みます。

 当社顧問先の多店舗展開している飲食関連企業は、3月初めの相談で4日後には、向こう1年間、月数百万円の元金返済猶予OKの回答を2行からいただきました。

4、関係官庁にはコロナ禍企業への借入元金支払猶予の決断をした銀行を支援するよう声を上げましょう

 無利息ではあっても新規融資制度創設の政府方針では、民間銀行が「政府系金融機関での新規融資制度を利用して、当行には返済してください」という動きになりますので、リーマンショック時と同様に中小企業の借入元金支払猶予を金融機関に促す施策を実施するよう声をあげましょう。

「中小企業家しんぶん」 2020年 3月 25日号より

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