第30回定時総会 1998年7月16日~17日(アピール)

総会アピール

私たちは、「国民や地域とともに真の中小企業の時代を!」のスローガンを掲げ、7月16、17日の両日にわたり、第30回定時総会を大阪で開催しました。総会は20の分科会にわかれ、本年度の活動方針についての論議を深めました。その結果、私たちは日本経済の閉そく状態が今後もつづき、中小企業をめぐる情勢に好転のきざしは見えないこと、このような状況下で私たちはいっそう同友会に固く結集し、経営の英知を集め、勇気を奮って企業の舵取りに全力を傾注していくこと、日本経済再生の切り札は勤労者の8割が働く中小企業の活性化にあり、そのためには次の重点施策の実現をはかるために積極的に提起・行動していくことを確認しました。

以上の確認に立ち、私たちは、本総会の名において次の事項の実現を国に対して強く要望・提言するものです。

1、景気回復の基調となる個人消費回復政策への速やかな転換をのぞみます。そのためには、消費税率を当面3%に戻すこと、所得税減税の恒久化実現にただちに着手すること。中小企業への過酷な税負担となる外形標準課税方式(赤字法人課税)の導入はとりやめること。

1、大手ゼネコン中心の大型プロジェクトによる従来型の公共事業ではなく、生活基盤整備・社会福祉重視・環境保全型の公共事業への大転換をはかること。国や自治体が行う官公需の中小企業向け発注比率を大幅に拡大すること。

1、30兆円にのぼる金融機関への公的資金の投入は、中小企業への「貸し渋り」を緩和する役割を全くはたしておりません。民間金融機関に対し中小企業への「貸し渋り、資金回収の強行」を行わないよう指導・監督を強めること。特にブリッジバンク制度導入によって中小企業の資金調達に困難が生じないような措置をとること。政府系金融機関の中小企業向け融資条件のいっそうの緩和、充実をはかること。

1、日本経済にはたす中小企業の役割を正当に評価し、中小企業重視政策への転換をはかること。国の政策に民意が充分反映されるように政策決定システムを改革し、国民の間に根強い政治不信を解消し、日本の将来への不安を払拭すること。

以上の要望・提言は、ごく当たり前のものであり、先に行なわれた参議院選挙においても、多くの政党、政治家の皆さんが公約として掲げ政策の実行を約束しております。私たちは、国政の場での実現に強く期待し、重ねて要望いたします。

私たちは、第30回定時総会を終えるにあたり、2日間、真剣に学び、交流した成果を次の課題の実現のために生かすことを誓うものです。第1に、自らの企業を革新し、時代変化をのりこえる強じんな体質の自立型企業をめざします。第2に、各地の同友会組織の体質強化をはかり、会員の要望にこたえ、国民や地域とともに前進する同友会をめざします。来年は中同協設立30周年を迎えます。私たちはさらに力を蓄え、多くの中小企業家に同友会運動への参加を呼びかけ、30周年を大きな前進の中で迎えることを決意し、本総会のアピールとします。

総会アピール 1998年7月17日
中小企業家同友会全国協議会 第30回定時総会