政策・主張

2004年度国の政策に対する中小企業家の要望・提言

【2】 2004年度国の政策に対する中小企業家の要望・提言

5.透明で公正な市場のルールをつくり取引を適正化する公正競争の確立

(1) 市場の歪みを「市場原理の尊重」下で是正するには中小企業の市場参入の機会が公平に保証されなければならない。それには中小企業に不当な不利益を与える不公正取引に対して市場のルールを守るべく厳正・迅速な政策的対応が不可欠である。そのために、(1)独占禁止法の「厳格な運用」と新たな強化をはかり、遵守させること。(2)公正取引委員会の権限の強化と司法機能の強化および独禁法の私訴規定のさらなる充実を図って、ルール違反防止と不公正取引の是正・防止を厳正に実施すること。(3)経済産業省設置法でうたっている「市場における経済取引に係る準則の整備」を取引適正化のために行うこと。

(2) 行政手続法等を活用し、許認可手続きの迅速化、手数料負担の軽減など中小企業の日常業務の規制撤廃・緩和を進めること。行財政情報の開示を行なって透明度を高めること。

(3) 公正な取引の視点から以下の3点について取引条件の確立を図ること。

  1. 海外展開、低価格等を理由にした中小企業への一方的な発注の停止、大幅削減、取消、買いたたき、取引条件の変更などの不公正取引の実態を自治体と共同して正確に調査すること。その上で不公正取引発生にたいする適正化措置として、データの公表(企業名公表)を含む情報公開等の緊急対応体制と相談体制の整備を図ること。
  2. 公正取引委員会は、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法などの法律に沿って下請取引の実態を調査・監視し、強力に指導して健全な取引環境づくりに努めること。
  3. 独禁法の「優越的地位濫用」による「下請いじめ」規制を発動できるように整備すること。特に、下請企業から声を上げないと調査が入らないシステムを改めて、第三者と当事者を組み合わせた監視システムをつくること。また、下請企業は親企業の発注に対応した生産設備・人員を抱え、簡単に転換することができないので継続的下請取引の一方的解除に歯止めをかけることができる措置をとること。

(4) 公正取引委員会は、2001年7月に『金融機関と企業の取引慣行に関する調査報告書』を公表しているが、その中では調査結果をふまえて「独占禁止法上の考え方」を整理し、金融機関のいかなる行為が独占禁止法の問題になるかを示している。これをふまえ、金融機関と融資先中小企業との歪んだ取引慣行を是正する「ガイドライン」の作成、行動指針的なルールづくりを行うこと。

6.中小企業を核とした地域振興による地域産業と商店街の活性化

大企業の事業所の撤退・閉鎖や海外移転などによって地域経済の空洞化がすすみ、地域集積・地域経済の衰退が進行している。その影響をできるだけ和らげ、新たなものづくり、新しい産業などを興して地域経済の再構築・再生をはかることが21世紀の日本経済の大きな課題になっている。地域と共に歩む中小企業をその再構築・再生の核に位置づけて、地域の中小企業を重視する政策スタンスが求められている。

(1) 大企業の事業所の突然かつ一方的な撤退・移転は地域経済に甚大な影響を与える。そうした工場移転、閉鎖などにあたっては、その計画段階から地元の自治体・地域代表者と協議するというルールを制度化すること。また、地域開発政策等の一環として地方進出した大企業の事業所が企業側の事情で早期撤退・閉鎖する場合は、国や自治体が負担した公共経費と事業所税・固定資産税などの減免措置相当分を返還するというルールを制度化すること。

(2) 地域経済の発展、地域コミュニティづくりに大きな役割を果たしてきた商店街の多くが存亡の危機にさらされ地域の衰退が危惧されている。そこで街の崩壊、地域の衰退状態を打開する新たなルールづくりと具体的な振興策が急がれる。次の施策を講じられたい。

  1. 街づくりの主体者は商店街、中小企業、地域住民であることを明確にして、商店街における中小小売業の事業活動の機会を適正に確保することを基本ルールに据えること。「街づくり政策・商店街振興政策の公募事業」を積極的な自治体を支援して進めること。
  2. 大店立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の「街づくり3法」を活用して抜本的な新しい街づくり策を積極的に推し進めて、既成市街地の活性化、良好な都市生活環境の確保を図ること。中心市街地活性化法施行によってつくられたTMO(タウンマネージメント機関)については、イ)推進計画をバックアップする2ケタに及ぶ省庁の窓口の一本化、ロ)手続きの簡素化、ハ)認可から実施までを短縮化させるなどの改善措置をとること。
  3. 地域住民が街づくりに積極的に関わる仕組みとして「街づくり会社の株主公募制度」などを検討すること。

(3) 地域コミュニティの主体となる商店街と個店の活性化を進めること。

  1. 零細店舗など商売上の工夫を考える自由な時間をつくりたくとも従業員雇用のできない層に対し、商店街ごとに販売のサポーターを派遣する制度を検討されたい。
  2. 空き店舗対策として、「商店主公募」やチャレンジショップ制度など店舗の家賃補助の支援策を拡充すること。空き店舗を借り上げ、リサイクル施設等の公共スペースを設置するなどの対策を講じること。特に、家屋の広い諸外国では女性が自宅で起業する場合が多いが、日本の住宅事情で女性起業家を多く輩出するためには、空き店舗や遊休施設の活用が決定的に重要であり、そのための施策を拡充されたい。
  3. 地域の社会的な問題解決のためのコミュニティビジネスの創業支援を進めること。「中小商業者が行う新たなビジネスモデル策定に対する支援」策をより拡充すること。各店舗の事業継承を支援する「後継者育成塾」の開催。

7.豊かな人間として育つための教育環境の重視

(1) 中小企業と教育

(1) 青年や子どもたちが健全な労働観や地域社会観を形成していく一つの機会としての労働体験を中学校・高等学校の授業の一環に組み込み、その現場として中小企業を積極的に活用すること。また、日本のものづくりの機能を保全するため、中学校以上の教育に、技術・技能教育を積極的に取り入れること。

(2) 大学生のインターンシップ制度の実施にあたっては、企業の採用活動とは完全に切り離し、仕事のノウハウを覚えるという狭義の職業教育にするのではなく、学生が働く意味や生き方を学ぶ機会となるような教育理念のもとで行うように指導すること。

(3) 長期的視野に立って人材を育成するためには、教師、父母、行政、企業経営者等が協力し合い、地域内で共に努力を積み重ねることが必要である。そこで、これら4者による懇談会やシンポジウムなどの試みに対して積極的に支援すること。学校評議員制度の実施にあたっては、地域の企業経営者の任用を検討すること。

(4) 中小企業についての正確な認識がはかられるように、学校教育等では中小企業の最新の実態に基づいた正確な姿を教えること。その一環として、中小企業の経営者を授業の講師とすること及び教師が中小企業の現場で研修することを積極的に計画すること。

(2) ゆとりある教育に向けて

(1) 教育基本法の改正が論議されているが、教育基本法そのものの基本精神を損なう、教育の現場から遊離した上からの一律的「改革」を拙速に行うのではなく、各学校の実情に応じたていねいな援助が可能となるような教育行政自体の改革をすすめること。

(2) 子どもは子どもの中で育つという子どもの集団自身が備えている育ち合う力を信頼し、子どもたちで自主的に過ごす時間を増やすために、また教師が一人ひとりの子どもと向き合うゆとりが持てるようにするために、学習指導要領の改善と教師が30人学級で自主的に授業内容・授業時間を組み立てられるように改善すること。

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