中小企業の倒産・廃業を避け、雇用と日本経済を守るために
新型コロナウイルスに関する第10次緊急要望・提言

 私たち中小企業家同友会全国協議会[略称・中同協]は、1969年(昭和44年)設立以来、自助努力による経営の安定・発展を図るとともに、中小企業をとりまく経営環境の是正に努めて参りました。
 新型コロナウイルス感染症は、1月から感染爆発状態となり、在宅勤務などができない現場を抱える中小企業の中には、感染者や濃厚接触者の増加で、「工場が回らない」「現場が止まる」など支障をきたしています。3年にわたるコロナ禍は、経済的に社会的にも極めて深刻な影響を与えている上、弊会調査(2月)で原材料高騰分や賃上げ分が価格転嫁にいたっていない企業が8割と、厳しい中でも社員の生活環境を守ろうと奮闘してはいるものの、立場の弱い中小企業にしわ寄せされ、経営環境はますます厳しくなってきています。(別紙調査報告参照
雇用と地域社会を守り、日本経済の崩壊を防ぐためには、中小企業の維持・発展が不可欠です。
 政府は厳しい局面を乗り切ろうと奮闘している中小企業・小規模事業者の存在意義と重要性を国民に訴えるとともに、柔軟で迅速な支援の取り組みを進めることを強く希望します。
 以上の観点から、私たちは下記のような政策の実施を緊急に求めるものです。関係各位の早急なご協力、ご支援をお願いします。

1.PCR検査の体制が不十分で、検査やその結果待ちの間に、感染者や濃厚接触者が爆発的に増え、限られた人数で現場を回す中小企業に支障が出ている。期間で外出制限するのではなく一日も早く職場復帰できるよう、素早い検査・結果通知を行う体制を強化し、無料で誰でも何度でも検査が行えるようにすること。またワクチン接種を加速させること。

2.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用による実質的な無利子化融資の返済猶予期間を延長し、特に利子補給に関しては5~6年延長すること。同制度の借り換え時にも本制度を使えるようにすること。

3.すべての金融機関は、中小・小規模事業者に積極的に返済条件変更に応じるとともに、長期資本性ローンや経営支援を行う施策を実施すること。また、これらについて監督官庁は金融機関をアセスメントすること。

4.雇用調整助成金特例措置のさらなる延長を行うこと。その財源は雇用保険に限らず、国庫から措置すること。雇用保険料率の引き上げを行わないこと。

5.コロナ禍の影響は、飲食関連や観光関連に限らず、交通関連や施設整備・保守など、広範囲に及んでいる。甚大な影響を受けている企業への支援を早急にかつ計画的に明示して実施すること。またGo To事業は、直接的に中小企業の事業活性化に結びつくようにすること。

6.資材不足や資材・原油の高騰は価格転嫁できない立場の弱い中小企業にしわ寄せされており、賃金の引き上げもままならない。仕入れや人件費、消費税等の価格転嫁がスムーズに行えるよう、指導を強化すること。

7.雇用を維持するためにも中小企業に対し、社会保険料(健康保険、厚生年金)の減免を大胆に行うこと。また、社会保険料の事業主負担分や税金の納付猶予期間を延長できるようにすること。

8.2023年に予定されている消費税のインボイス制度の導入を凍結し実施しないこと。

9.回復需要を担える前向きな投資活動を推進するような事業復活支援金の枠の拡大、公共調達の中小企業優先発注などを実施すること。また、事業再構築補助金制度を延長・要件緩和し、希望者の多くが活用できるようにすること。中小・小規模事業者に対し申請を簡便にすること。

以上

2022年2月25日
中小企業家同友会全国協議会 会長 広浜泰久