会長談話「経団連『採用選考に関する指針』廃止を受けて」

経団連『採用選考に関する指針』廃止を受けてー 中同協会長談話を発表 中小企業家同友会全国協議会(中同協、47都道府県の中小企業家同友会会員46,340名、会長・広浜泰久)は、10月9日経団連が「採用選考に関する指針」を2021年春入社の学生から廃止するとの発表を受けて、会長の談話を3点(1.一定のルールの存続、2.学生の立場に立ったルールづくり、3.中小企業の意見の反映)にまとめ、10月11日に以下のように発表しました。

経団連『採用選考に関する指針』廃止を受けて

 経団連は9日、「採用選考に関する指針」を2021年春入社の学生から廃止することを発表しました。長年にわたって続いてきた「就活ルール」がなくなることは、大学や学生、企業にとっても大きな影響が生じることが想定されます。
 私ども中小企業家同友会全国協議会は、自主的な企業体質強化の活動の一環として、長年にわたって新卒採用を推進する共同求人活動に取り組み、若者が働くことに誇りを持てる職場と社会の環境づくりに努めてきた経験も踏まえ、今後の「就活ルール」のあり方について、以下のとおり考えるものです。

1.一定のルールの存続を

 現在のルールがある中でも、就職活動の長期化やそれに伴う学業への影響、経団連加盟企業以外の企業への拘束力のなさなどからくるルールの形骸化など、さまざまな問題点が生じています。「就活ルール」がなくなることで、これらに拍車がかかり、多くの企業や学生の中に混乱が生じることが懸念されます。
 私どもは、これらの問題は一部の経済団体が就活ルールを主導するあり方に問題があり、政府をはじめ企業・大学などの幅広い代表が参加できる協議の場をつくり、ルールの実効化をはかることが必要であると、以前より提言してきました。
今回を機に、政府や企業・大学などの幅広い代表の参加により、実効性のあるルールをつくることが必要であると考えます。

2.学生の立場にたったルールづくりを

 就職活動の早期化・長期化は、学業の形骸化や学生生活の空洞化を進め、学力や人間力の低下につながります。個々の企業が短期的な利益だけに目を奪われ、自社本位の採用活動を進めることは、中長期的に見れば日本の社会全体にとって、そして経済界にとっても大きなマイナスとなりかねません。日本社会全体として、未来の日本を支えていく人材を育てていく責任があります。今こそ、日本の未来の担い手となる学生の立場にたってルールをつくっていくことが必要と考えます。

3.中小企業の意見の反映を

 中小企業は企業数の99.7%、雇用の7割を占め、日本経済の柱とも言える存在です。中小企業憲章(2010年閣議決定)では、「中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす」ことが謳われています。今後の「就活ルール」づくりに際しては、中小企業も含めた協議の場をつくり、中小企業の声も生かされるような形で論議が行われることを望みます。

以上

2018年10月11日
中小企業家同友会全国協議会 会長 広浜泰久