調査・研究

トランプ不況に消費増税不況で二重の不況加速か
DOR130号(2019年7〜9月期景況調査)速報

業況判断・水準・売上高・経常利益がすべて水面下に沈んだまま、横ばい

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△2→△3、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は0→ △1、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△5→△4、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」 −「悪い」割合)は△3→0と、前回と同様にすべてがマイナス圏にあるが、ほぼ横ばいになった。前期、流通・商業の業況判断DIが△7と悪化したが、今回は1まで回復した。これは、消費増税10%に伴 う駆け込み需要の影響か。
 世界経済は、貿易戦争による企業心理の悪化で、米国で製造業の景況感が3年ぶりに不況に転落し、 中国はIT分野を中心に生産が急減速する。トランプ政権の対中強硬政策と次期大統領選を見越した さらなる強硬姿勢が背景にある。しかし、トランプ不況はその思惑を超え、世界景気を本格的な不況 へと引きずり込んでいくだろう。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が2→9、製造業が△7→△16、流通・商業が△7→1、サービ ス業が10→5と、製造業のみマイナス圏で悪化した。地域経済圏別では、北海道・東北が1→1、関東 が△7→△8、北陸・中部が△5→△9、近畿が△3→△11、中国・四国が12→11、九州・沖縄が△9→△ 2と、大都市圏の悪化が目立った。企業規模別では、20人未満で△1→△2、20人以上50人未満で△3 →△5、50人以上100人未満で△14→△7、100人以上で13→0と、100人以上の悪化が気になる。
 次期(2019年10〜12月期)以降は、業況判断DIが△3→△14、売上高DIが△1→△4、経常利益DIが △4→△6、業況水準DIが0→△7と予測。すべてがマイナス圏で大幅悪化である。次期の業種別の業況 判断DIでは、建設業が9→△2、製造業が△16→△23、流通・商業が1→△13、サービス業が5→△9と、 製造業のみならず全業種がマイナス圏に落ち込む予想である。

受注が激減!全面的に営業活動を進める会社をめざす

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が43→36と、急減した。売上・客単価DI(「上 昇」−「下降」割合)も15→12と下降し、仕入単価DI−売上・客単価DIの差は28→24となり、やや緩和 した。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の安易化傾向は変わらず、資金繰り DI(「余裕有り」−「窮屈」割合)がプラス側(余裕有り)を維持している。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は5→6とほぼ横ばい。臨時・パート・ア ルバイト数DIも1→0と横ばいだが、製造業が2→△7に下降した。所定外労働時間DI(「増加」−「減 少」割合)は△15→△16とほぼ横ばい。また、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△4 3→△40と弱まったが、建設業は△69と記録的な数字までに跳ね上がった。設備投資では設備の過不 足感DI(「過剰」−「不足」割合)も△16→△19と若干過剰感が強まった。
 経営上の問題点では「従業員の不足」が38%→37%と、9期連続で1位となったが、減少ぎみ。「人 件費の増加」が35%→33%と2位であった。久々に、「民間需要の停滞」が顕著な上昇をみせたが、 特に製造業では、「民間需要の停滞」が35%→39%に上がった。
 経営上の力点では、「新規受注(顧客)の確保」(53%)と「付加価値の増大」(50%)が双璧。 会員からは、「既存顧客からの受注が激減している。外注費の削減、生産性の向上で粗利益の確保、 あわせて新規市場への営業活動に注力した(愛知、工業用プラスチック製品製造)」など製造業では 受注激減に際し、全面的に営業活動を進める会社をめざす記述が目立った。

DORの製造業が悪化、不況加速に見舞われつつある

 日銀短観は「大企業・製造業」がプラス5 と2 ポイント悪化。景況感が3 期連続悪化した。「中小 企業・製造業」も△4 と3 ポイント悪化。DOR でも、20 業種別業況判断DI で金属製品製造業は△ 18→△32、機械器具製造業は△23→△25 と製造業が大幅に後退している。受注残も製造業で△20→ △24 となり、受注活動も同様の傾向である。製造業を中心に景気が正念場に入っているのは間違い なく、トランプ不況と消費増税不況の二重の不況加速に日本は見舞われつつある。

(2019年10月9日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2019年10月31日発行のDOR130号をご覧下さい

[調査要領]
調査時 2019年9月1〜15日
対象企業 中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,376社より918社の回答をえた(回答率38.6%)
(建設168社、製造業306社、流通・商業270社、サービス業166社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員39.68人
臨時・パート・アルバイトの数25.88人

PDF資料はこちら(PDF553KB)

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