調査・研究

中小企業は小幅回復するも
コロナ大不況の先行きは全く不透明
DOR134号(2020年7〜9月期景況調査)速報

業況判断・業況水準・売上高・経常利益は小幅回復するも、なお低水準、厳しい次期見通し

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△58→△45、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△49→△36、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△55→△47、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△54→△44と、前回より小幅な回復が見られるが、景気悪化の傾向は続く。
 新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)は勢いを増し、死者は103万人を突破した(2020年10月6日)。4〜6月期のGDP(国内総生産)は、前期比年率換算で日本が△28.1%、米国が△32.9%、ユーロ圏は△40.3%と過去最悪を更新した。特に、米国経済は、新型コロナの感染は再び拡大し、雇用悪化も懸念される中、現在の回復は金融市場が期待よりはるかに脆く、二番底に向かっている可能性が高い(日本経済新聞、2020年9月29日付)。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△49→△34、製造業が△64→△61、流通・商業が△58→△44、サービス業が△58→△35と、マイナスが若干緩和した。地域経済圏別でも、北海道・東北が△51→△50、関東が△60→△47、北陸・中部が△58→△46、近畿が△71→△55、中国・四国が△56→△38、九州・沖縄が△52→△38と、すべてがマイナス30〜50に「回復」した。企業規模別では、20人未満で△57→△42、20人以上50人未満で△59→△48、50人以上100人未満で△63→△49、100人以上で△59→△50と、全企業規模で規模に関係なく、最悪からマイナス40前後に戻した。
 しかし、次期(2020年10〜12月期)以降は、業況判断DIが△45→△44、業況水準DIが△36→△42、売上高DIが△47→△43、経常利益DIが△44→△40、と予測。危機は長期化の様相を呈する。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△34→△36、製造業が△61→△56、流通・商業が△44→△44、サービス業が△35→△36と、ほとんど同じ。新型コロナのワクチンと治療薬の開発が待たれるところである。

コロナ後の未来秩序を想像し、大胆に取捨選択、単純化あるいは方向転換していく

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が27→6と、21ポイント下落。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も6→△10と16ポイント下降。仕入単価DI−売上・客単価DIの差も21→16で下がった。金融面では長短の借入金増減DI(「増加」−「減少」割合)が今期を境に切り替わった。特に、長期資金は△27→22と劇的な変化であり、借入金を思い切り厚くしている。しかし、資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)では余裕有りの方が多くなっている。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は△5→△11、臨時・パート・アルバイト数DIも△7→△21と著しく減少した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△23→△51と一段と減少した。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△31→4と今期初めてプラス側に。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)も△14→△4と過剰感が強まった。 経営上の問題点では「民間需要の停滞」が42%→56%と顕著な上昇をみせ断トツの1位に。「従業員の不足」が30%→16%と凋落し、2位から6位に転落した。なお、「その他」が16%→22%で3位になったが、「新型コロナウイルスの影響」が入るのだろうか。
 会員からは、「コロナ後の未来秩序を想像し、…我が社が経営していく経済環境自身が変わることを念頭に、会社業務遂行の現状を棚卸しし、大胆に取捨選択、単純化あるいは方向転換していく必要があると考えています(愛媛、紙卸売)」など同友会会員らしいアフター・コロナの議論も聞かれた。

「地方の問屋としてコロナで元気になった」

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が6→7とほぼ同じ。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も△10→△9とほぼ同じ。仕入単価DI−売上・客単価DIの差も16→16で横ばいとなった。金融面では長短の借入金増減DI(「増加」−「減少」割合)が前期を境に切り替わり、今期も借入金を思い切り厚くしている。短期借入金増減は16→22、長期借入金は22→34と数値が上昇。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は△11→△15とやや減少し、臨時・パート・アルバイト数DIは△21→△20と横ばいとなった。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△51→△42と若干増加に戻した。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は4→△7と前期初めてプラス側に来たが、今期再びマイナス側に。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)も△4→△7と再び不足感が強まった。
 経営上の問題点では「民間需要の停滞」が56%→57%と断トツの1位にある。最近上昇してきた問題点に「取引先の減少」がある。21%→22%で3位となった。前回凋落した「従業員の不足」が16%→20%と、6位から5位に戻した。
 会員からは、「1月以来、売上、利益とも前年をわずかですがクリアしてきました。地方の問屋としてコロナで元気になった。地域の食品スーパーにオープンで公平な、また情報を流して改めて信頼を確保し、これからの地元スーパーの価値を確認し、営業の自信を取り戻しつつあります(静岡、流通・商業)」など同友会会員らしい営業の自信を取り戻しつつある意見も聞かれた。

新型コロナで二番底リスク!中小企業は着実に経営計画を見直そう

 日銀短観は「大企業・製造業」が△34→△27と7ポイント改善し、景況感悪化に歯止めがかかったが、依然として低水準。「中小企業・製造業」も△45→△44と横ばいの低水準となった。GDPは2020年4〜6月期の実質成長率が年率換算で△28.1%となり、予測を上回る事態となった。
 世界中が新型コロナの第2波・第3波の警戒感に揺れている。さらなる景気悪化の可能性が高まれば、二番底リスクを抱える。中小企業は着実に経営計画を見直し、どんな経営環境にも対応していこう。

(2020年10月7日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2020年10月31日発行のDOR134号をご覧ください

[調査要領]
調査時:2020年9月1〜15日
対象企業:中小企業家同友会会員
調査の方法:郵送により自計記入を求めた
回答企業数:2,294社より1,020社の回答をえた(回答率44.5%)
   (建設184社、製造業311社、流通・商業301社、サービス業209社)
平均従業員数 :役員を含む正規従業員40.27人
        臨時・パート・アルバイトの数31.41人

PDF資料はこちら(PDF487KB)

このページの先頭にもどる

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS