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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2004年 2月 25日号

▼関東では八百屋さんの店先に一足早い春が訪れている。ふきのとう、せり、たらの芽などが並んでいる。栽培物だろうが、この時季の出合いにはうれしさが先に立つ。いずれも苦味、渋味が身上である

▼かわいそうなのは「うど」である。若緑の芽先のほろ苦い渋味や、白味の部分の素朴な味わいも捨てがたいが、季節の使者とは言いづらくなった。欲しいと思ったときは季節と関係なく欲しがってみたり、いつもあると季節が感じられないと言ったりする。われながら勝手なものだと自省するのだが

▼菜の花のからし醤油(しょうゆ)和(あ)えで、ビールや日本酒を楽しむ人も多いことだろう。たらの芽やふきのとうは、天ぷらが一般的かもしれないが、ふきのとうを2つ割りくらいにして火にあぶり、好みの味付けをした練り味噌をつけると、日本酒の味が今一つ極上になる。醤油と酒と梅干しでさっと煮あげたものも捨てがたい

▼かつて子供たちに「つくし」もおいしいという話をしたら、数日後、山のように採(と)ってきて食べさせてと言われたのを思い出したりする。つくだ煮にもなるし、結構いけるのだが、胞子部分の育ちが一様でないと、選別や料理の準備に手間暇がかかる。それも楽しみのうちだろうか。

「中小企業家しんぶん」 2月 25日号より


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