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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2004年 8月 25日号

▼関電・美浜3号炉事故で亡くなった方の父親が「こんなことで命を落とすなんて、もうたくさんだ。息子の死で最後にしてくれ」と怒りをあらわに叫んでいた。その悲痛な親の心情に胸の潰れる思いだった。人の命に重い軽いはない

▼太平洋戦争でも、多くの人たちがいわれもなく命を失い、特攻では多くの若者たちが死へ追いやられた。戦後の混乱が過ぎ、少し落ちついたころ、残された家族や親の気持ちはそんな思いに変わってきていたのではないだろうか。教えられた大義は大義でなかった。しかし、死んだ人は戻らない

▼戦後が遠くなり、つらく悲しい思いをした人たちが少なくなるにつれ、声高に改憲論が言われ戦争への危険が強まっている。財界からは武器輸出3原則を見直せという声まで高まっているという。ブッシュはイラクの石油が欲しかったとはもう世界の常識だが、死んだ人たちはどうなる

▼痛みを忘れた人間は何度でも同じことをするかと半ば諦めかけていたが、本紙前号、長崎・末次眞氏の「私の8月9日」を読み、自分の思いの浅さに気づき深く恥入った。空爆という手段が主になって、巻き添えによる市民の死者が90%以上という。命を守るためにこそ命をかけたい。

「中小企業家しんぶん」 8月 25日号より


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