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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2006年 3月 25日号

▼小泉改革における郵政民営化と並ぶ重要課題として、中小企業の切実な願いにもかかわらず、9つの政府系金融機関の統廃合準備は着々と進んでいる。

▼郵政と政府系金融機関は公的金融の入口と出口の関係にあり、両者が改革されてこそ真のスリム化が可能となるというのが、その趣旨である。何となく「統治者の方針以外は耳を貸さず」の過去の苦い経験を思い出す。

▼政府系9金融機関を維持するのに国が負担している総コストは年間約1兆円に達するという数字が、政府方針是認材料に使われている。一方で、政府系金融機関利用者=中小企業であり、不良債権発生率が高いかのようなニュアンスもにおわせていた。巧妙な世論形成術とでもいうほかない。

▼確かに、1995〜2004年の政府系9金融機関に対する国の負担額合計の平均は、年間9968億円。しかし、中小企業と関係の深い国民公庫と中小公庫の合計は1307億円であり、商工中金をプラスしても1416億円である。国負担年間1兆円のうち、実は住宅公庫と円借款を主体とする国際協力銀行の分がほぼ70%を占めている。納得のいかないうちに、納得のいかないことが進行していく不安がよぎる。

「中小企業家しんぶん」 3月 25日号より


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