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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2006年 4月 25日号

▼桜前線はまだ北上中であるが、まもなくゴールデンウイークである。男の子や孫のいる家庭では、端午の節句の祝いが話題になっているかもしれない。端午とは月の最初の午(うま)の日を言い、もともとは5月に限らないのに5月になった。

▼さらに、午(ご)を5と通用させ5月5日に定まった。中国の古い習俗では、5月5日には薬草を採取したり、菖蒲(しょうぶ)を浸した酒を飲むなど 病気や災厄払いの行事をしたらしい。これが日本に伝わり、平安時代から宮中で5月の節会(せちえ)が行われ、菖蒲が献上され、臣下には薬玉が下賜された。

▼独特の香りの菖蒲は万葉の時代から髪飾りにも使われ、5月の香水の役目も果たしていたらしい。菖蒲湯に入る習慣は室町時代に伝わり、菖蒲は尚武に 通じ、男の子の節句にふさわしいと広がった。鯉幟(こいのぼり)は江戸時代初期、民間で始まった流行で、比較的新しい。当初は紙製で和紙が活躍したことで あろう。

▼日本の5月は田植えの季節で物忌みを必要とした。5月5日の菖蒲飾りはそのためで、その前夜から、女性は忌み籠(こも)りして身を浄め、女性の天 下という慣(なら)わしで、男児の節句より古いようだ。あまり知られていないことだが、5月はもともと女性主役の月ということになる。

「中小企業家しんぶん」 4月 25日号より


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