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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2006年 12月 5日号

▼いじめを原因とする子どもの自殺が相次いでいる。子どもの虐待も減ってはいないようだ。日本全体の自殺件数が3万件台となって8年になるが、子どもの自殺くらい心を痛める事件はない

▼学校内のいじめは昔もあったと思う。自分は被害者だったのか加害者だったのか。ひやかしたり、はやしたてることはやったと思うが、特定の個人を執拗(しつよう)に狙い打ちする陰湿さは少なかったと思う。昔は兄弟も多かった。教師、親、兄弟、近隣の大人たちの監視装置がはたらいた。悪さをしてもすぐ見つかる

▼都会も地方も、子どもたちのおかれている環境は激変した。競争至上主義の原理が大人社会の常識とすれば、子ども社会もその影響から逃れることはできない。今の子どもたちの緊張感、孤独感は多分大人の想像を絶する深刻さではないか。大人が子どもとどう真剣に向き合うのか、家庭や学校はもちろん社会全体が子どもの成長過程を温かく包み込んでいく、その環境づくりこそ真剣に論議されるべきであろう

▼国会では教育基本法改正案が俎上(そじょう)にのせられている。改正案は上からの統制色が強い。教育の主人公はあくまでも子ども。現況は本質論がなおざりにされていないか憂慮される。

「中小企業家しんぶん」 12月 5日号より


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