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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2007年 3月 25日号

▼中同協・企業環境研究センターから『研究センターレポート第18集』が刊行され、昨秋開催された公開シンポジウムの内容が特集されている。岡田知弘京大教授は、地域の新たな発展の可能性を探る問題提起の中で、「地域内再投資力」を高める重要性を指摘している。それを肯定的に受けながらの小松善雄立教大教授の指摘も注目される

▼地域内再投資力の根本は社会資本としての人的資本であるという指摘である。論拠は、30年以上にわたるイタリアの実地調査に立ったパットナム・ハーバード大教授の結論にある。実証的研究は著書『哲学する民主主義〜伝統と改革の市民的構造』にまとめられている。その中でパットナムは、イタリア北部が南部より先行発展した理由として、地域文化と北部に「ある種の人材」がより多数存在していたことに着目している

▼分かりやすく「ある種の人材」を表現すれば「地域づくり」に熱い思いと、それを担うにふさわしい力を持っている人間ということになろうか。『研究センターレポート第18集』と共に同書を一読されるようお勧めしたい。なお、パットナムの著作『孤独なボーリング』からは、地域づくりにおける社会集団の意味や重要性も教えられる。

「中小企業家しんぶん」 3月 25日号より


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