【経済データを読む】県民経済計算から地域づくりを見る

 景気の低迷と日本経済の構造転換が進み、先行き不透明な今。科学的なデータにもとづいて現状や時代の変化を正確につかみ、企業づくりや地域づくりに活かしていくことがより重要になっています。今回からシリーズで、今注目したい経済データを紹介します。

 表は、農林水産業と食料品製造業(食品工業)の全産業生産額に占める割合(GDP比率)です(2009年6月8日内閣府公表の「2006年度県民経済計算」から作成)。

 一番の特徴は京都府で、9兆2,815億円の府内総生産に対して農林水産業の割合は0.5%の501億円、食品工業は10.6%の9,823億円と19倍となっています。京都府の2007年工業統計からみれば、食品産業は事業所の13.3%、従業者の15.5%、製造品出荷額の24.6%を占めていますが、主なものは京漬物、京菓子、宇治茶、清酒などであり、ブランド京野菜とともに京都ブランドを構築しています。

 食品工業の生産額が農業生産額の19倍あるという京都府の例を、農林水産業の全産業生産額に占める割合が一番高い宮崎県(6.8%、2,054億円)に適用すると、食品工業の生産額は現在の3.5%、1,056億円から3兆9, 026億円(全産業生産額の130%)になる可能性をもっているということです。このように考えると第1次産品をそのまま売るのではなく、加工すれば19倍の新しい仕事ができる可能性があるということです。

「中小企業家しんぶん」 2010年 1月 25日号より