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料理別の卵と最高のレシピで新しい価値づくり~(株)小林ゴールドエッグ 代表取締役 小林 真作氏(徳島)

自分の会社を好きになっていくと、弱みが強みに見えてくる

小林社長

 29歳で商品である卵のこともわからないままに事業を継承した、(株)小林ゴールドエッグの小林社長は、料理に応じた分類による卵の販売、卵を使った料理の提案など提案型企業を目指しています。高知同友会6月例会の報告から同社の取り組みを紹介します。

突然の事業継承

社屋

 私は3代目の社長ですが、当初は父親には「継がなくてもいい、自由にしていい」と言われていたので、大学も理系に進み、高分子物理学を学びました。でも「好きにしていい」と言われると逆に家業が気になったのか、食品会社に就職しました。

 6年前に父の具合が突然悪くなり、2カ月で他界しました。私が長男だったこともあり、急きょ会社を継ぐことになりました。29歳の時です。引き継ぎは全くありません。商品である卵のことも経営のことも全くわからない社長が突然やってきたということで、社内に動揺が広がりました。

 周りはベテラン社員ばかりなので、私が指示するようなことは何もありません。次第に社内で話しをすることができなくなり、社長室から出ていけない社内引きこもり状態になりました。それが半年間ほど続きました。その間ひたすら経営に関するような本を読んでいましたが、次第に「このままではいけない」という焦りが生まれてきました。

社風の悪化、同友会との出会い

 そして突如、2週間に1度、2時間の社内勉強会を始めました。個人面談もし、数値目標を明確にし、生産管理も厳しくしました。社長である私は朝一番に来て、一番遅くまでいるようにしました。社長室からも出て、みんなと一緒にやるようにしました。

 しかし、結果的には全て裏目に出て、ドンドン社風が悪くなっていきました。社員さんに「これを覚えてください」という勉強会ばかりをすることで、「皆さんは何も知らない」というメッセージをひたすら送っていました。

 面談にしても、一方的に経営者の思いを伝えていました。全てを否定する社長が朝から晩までいるわけです。社風が悪くなるのは当然です。次第に社員の前で話をするのも苦痛になってきました。

 そんな時に取引先の方から同友会を紹介して頂きました。参加してみると自分と同じように悩んでいる多くの経営者が、とても熱心に勉強していました。驚きと同時に、自分だけではないという安心感も生まれました。今考えると当たり前のことでも新鮮で、多くのことを学ばせて頂きました。経営指針の勉強会へも勧められるままに参加して、経営指針を成文化しました。できた経営理念は「生命の源である卵という食材を通して、お客様の食卓へおいしさと健康をお届けします」です。

弱みを強みに変える

写真たまご

 しかし、経営理念を作っても私自身が腑に落ちていませんでしたので、全く会社は変わりませんでした。

 半年位経った時です。「卵を食べると健康寿命が延びる」という言葉に出会いました。その瞬間、卵はすごいと思い、自ら作った経営理念が腑に落ちました。

 当社は毎日10数万個の卵を出荷しています。日本人は1日平均一人1個の卵を食べますので、毎日10数万人の健康寿命を延ばしていることになります。お医者さんでも1000人の患者を毎日診ることはできないのに。そんなふうに思えることで、仕事や卵が段々と好きになってきました。

 当社は15の契約農場から仕入れており、品質が一定していません。社員もベテランばかりで、なかなか言うことを聞いてくれません。それが弱みだと思っていましたが、実は裏返すと宝の山でした。

 おいしい卵とはどんな卵か。突き詰めていくと、それは料理になったときにおいしくなる卵だと気が付いたのです。そうなると種類が多い当社の卵は、宝の山です。プロの料理人でも何十種類もの卵の食べ比べはしませんが、当社ではそれができます。つまり卵のプロになれるのです。これは他社には真似ができません。結果、卵かけご飯用やオムレツ用など、現在では大きく分けて16種類、細かく分けると80種類の卵を分類して販売しています。

 「卵を使っておいしい料理をつくりたい」というのが顧客の要望であれば、卵を使ったメニューの提案をすればいいということがわかり、これを実践することで顧客との関係も変わりました。

 ベテラン社員の卵の違いが分かる知恵や知識も生かせるようになりました。食肉なら料理の用途別に分けて販売されています。でも卵はそうなっていません。ここを変えればいいのです。やり方は同じでも伝え方を変えるだけでオンリーワンになれることに気づきました。

価値提供業をめざして

写真たまご2

 この間の取り組みで、売上は決して大きくは伸びていませんが、利益は3年連続で伸びています。そして一番変わったのは経営者である私自身です。卵も社員も養鶏場に対しても、全て見方が変わりました。卵と同じように社員の良いところを生かす会社でないと駄目だと気付きました。このことで社員との関係も変わってきました。社内会議も「ほめてもらったこと、うれしかったこと、良かったこと」を共有する内容に変わりました。そんな中から新しいアイデアも生まれるようになり、良い循環が生まれつつあります。

 今後は価格で勝負するのではなく、価値を提供できる企業をめざしていきたいと考えています。社内にはまだまだ宝が埋まっているはずです。それをドンドン掘り起こしていこうと考えています。そして創業当時、祖父がやっていた地域に密着した「地域の人の顔が見える経営」を目指していきます。

 卵以外の価値、例えば餌なども地域の一次産品で捨てられているものを有効活用しようと考えています。どこにもない価値を届ける企業をめざし頑張っていきたいと考えています。

会社概要

創業 1975年
資本金 1000万円
年商 4億9000万円
社員数 25名(うちパート6名)
業種 鶏卵卸業
所在地 徳島県徳島市国府町日開113番地
『たまごのソムリエ』 ホームページ
http://www.cgegg.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2010年 7月 25日号より

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