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地域資源の掘り起こしは「未利用資源」「加工技術」「連携」(株)パイオニアジャパン会長 山道勝則氏

農商工連携で稚内オオナゴのブランド化、規格外野菜の商品化に取り組む

 (株)パイオニアジャパン(北海道同友会会員)は、1989年の創業以来、肉、カット野菜を中心とした惣菜全般を扱ってきました。当時、惣菜といえば、はんぺんや佃煮といったものでしたが、同社では、トンカツやから揚げなどの惣菜をミートデリカとして積極的に大手小売店に売り込み、成長してきました。山道勝則会長は、「北海道にいる私たちが地域の資源を扱わないでどこが扱うのか」と、地域に眠る未利用の資源を積極的に活用し、経営革新に取り組んでいます。その取り組みを紹介します。

農商工連携で稚内産オオナゴをブランド化

 オオナゴを稚内発のブランドとして完成させようという(株)パイオニアジャパンの取り組みは、2008年秋、道内銀行の元稚内支店長から、稚内にオオナゴという未利用の素材があると紹介されたことがきっかけでした。

 オオナゴ(正式名称イカナゴ)は、全国各地で水揚げされますが、ほとんどが13センチ前後と小さく、稚内では体長25センチ以上と国内最大のサイズになります。しかし、これまではほとんど養殖魚の餌として出荷されていました。

 オオナゴを稚内の特産品にしようという運動は10年前からありましたが、なかなか認知されないでいました。「ブランドとは志とストーリー、そして実績からなる」と語る山道会長。稚内オオナゴには「志」と「ストーリー」は十分ある、消費者に受け入れられる商品開発と広報活動で実績を作っていこうと取り組みが始まりました。

 オオナゴは痛みやすいため、稚内の漁協と水産加工会社と連携し、オオナゴを捕ったその日のうちに凍結加工、ワンフローズンで輸送することで鮮度の問題は解決。今年7月には、国の農商工等連携事業の認定を受け、稚内おおなご大使にも就任。東京でのシーフードショーにも出展し、販路確保に努めるなど、稚内オオナゴの知名度向上に向けて、積極的な販促活動を行っています。

 同社では、オオナゴのフライと、ウナギ・サンマ加工のノウハウを利用した蒲焼きを生産、「稚内おおなご棒寿司」や稚内の地元企業とコラボレーションした「北海おおなご三昧」といった弁当も開発し、9月中旬からJR稚内・札幌駅で販売予定です。

規格外野菜で農業振興

 同社では、規格外野菜を使った加工品も手がけています。

 東京のネピュレ(株)が開発した技術を使って食品をピューレ化(半液体状化)する機械を全国で初めて導入し、ニンジンやタマネギのピューレの生産や、豆腐・麺類・デザート・ジュースなどさまざまな用途開発に取り組んでいます。8月には経済産業省の「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金」の採択もされました。

 ネピュレ(株)の開発した技術とは、超高温飽和水蒸気(SHV)を無酸素状態で発生させ過熱、遠心分離により野菜や果物をピューレ化する技術です。酸化による風味の減少が押さえられ、細胞が破壊されないために色鮮やかで、糖化が促進されることでうまみの凝縮したピューレ(商品名「ネピュレ」)が生産できます。日米韓で特許を取得しています。

 「ネピュレ」には、生野菜と同様の免疫改善効果もある(西村孝司北海道大学教授の春菊での実験)ことから、(株)パイオニアジャパンでは、機能性食品の開発も進めています。

 同社では農業生産法人「やまみちの里」を所有していることから、農家が丹精こめて生産した農産物が、サイズが合わない、色が良くないというだけで大量に廃棄されていることに心を痛めていました。しかし、規格外品であっても量と安全性が確保できれば、ピューレに加工することで十分に製品にすることができます。農家がお金を払って廃棄していた野菜を、逆に高値で買い取ることで、農家の所得安定にもつなげることができます。

 同社では現在、農家が直接こういった農産物を持ち込めるよう、生産地に近い場所での工場建設も検討しています。

北海道の地域資源を活用したイノベーション

 稚内オオナゴ、規格外野菜のピューレ化、この2つの取り組みに共通していることは、「未利用の資源」を、「加工技術」を駆使して、「連携」によって商業化したという点です。

 現在、経済優先の社会から自然との共生社会にシフトしてきています。しかも日本の食糧自給率は40%に止まっており、自給率向上のため、未利用資源が改めて見直されています。北海道は高品質の1次産品の生産地ですが、優秀な素材供給基地のまま留まっているという問題があります。

 「北海道の基幹産業である1次産業を、加工技術を積極的に用いることで、2次産業、ひいては2・5次産業にまで進化させることが北海道の発展につながる」と山道会長は語ります。

 地域資源を活用した産業の発展では、生産者側では消費者ニーズの把握、販売者側ではトレーサビリティーの実現による消費者の信頼確保が課題であり、そのために、生産から流通に至る生産者と販売者の連携が重要になっているのです。

 “大変”な時代と言われる今こそ、大きく変わり、発展の可能性を切り開く時。北海道の地域資源の活用に基づくイノベーション、同社の挑戦は続きます。

会社概要

創業 1989年
資本金 3500万円
社員数 グループ全体で正社員40名、パート100名
業種 惣菜の製造と販売
所在地 小樽市銭函5-53-4
TEL 0133-72-7135
http://www.pioneer-j.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2009年 9月 5日号より

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