目標課題が明確化できるプログラム~トータル・ソフトウェア(株) 代表取締役 今給黎 正己氏(鹿児島)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】5

 「企業変革支援プログラム・ステップ1」は、2007年頃から耳にするようになりましたが、当初は、本当に経営理念の浸透や人を生かす経営の実践など定性的なものが数値で計れるものだろうか、という疑問がありました。

 経営指針セミナーの中でテスト版を初めて体験し、驚いたことに冷や汗が出るくらい評価が悪く、最後まで真剣にならざるを得ない自分がいました。経営指針書は毎年見直し、いろいろ実践できていると思っていたのに…という、自分の甘さが浮き彫りにされました。

 また、社員にも評価をさせた方が、経営者との認識のズレを問題視できる、ということで、会員でもある弊社の瀬戸口正(取締役開発部長)にもチェックしてもらいました。全体の合計点数はほぼ同じでしたが、カテゴリー別の大きな差異を見つけました。

 その概要は、理念の浸透や労使見解は、瀬戸口が高く評価し、理念の実践や、市場・顧客対応については、瀬戸口は低く評価している、という結果でした。現場をよく知る立場の社員は、現場での実践・実行状態を、より厳しい目で見ているということです。組織の伝達の仕組みや、お客さんへのサービス・満足度をもっともっと上げていかないと大変なことになるということが明確化できました。

 このプログラムは22個の設問があって、各設問0~5の評価ですが、5の評価を得るには経営指針を作り、相当な努力を積み重ね、社内外において広く深く実践するPDCAの仕組みをそろえ、その高いレベルが平準化し、社会的評価も得ないとなりません。

 今年2月、京都で行われた全研2日目には、このプログラムを利用した全国の会員さんの分析結果が大野・中同協経営労働委員長より発表されました。理念・経営指針は強いが、実践(市場、顧客の把握、付加価値)ができていない。「知ること」と「やること」に距離がある、という分析をされました。まさにわが社もそうだなあと悪い意味の納得をせざるを得ませんでした。

 今年は、1つでも5の評価を作れるよう、4の評価を増やせるよう努力したいと思います。このプログラムは魔法の杖ではないですが、「よい会社にするための羅針盤」として、とてもよくできていると思います。ぜひ皆さんも1度体験してください。

(鹿児島同友会ニュース『ひっ飛べ通信』より転載)

「中小企業家しんぶん」 2010年 10月 15日号より