再生可能エネルギーの固定価格買取制度とは?

 2012年7月1日から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が始まりました。

 再生可能エネルギーは、他の電源と比べてまだまだ設置コストが高く、再生可能エネルギーによる発電の価格を国が定め、電力会社が電気を買うことを義務づけることで再生可能エネルギーの導入を促していくという制度となっています。太陽光では、買い取り価格10キロワット以上で1キロワットあたり42円で20年の買取期間が設定されています。

グリーン投資減税

 グリーン投資減税が2014年3月31日まで実施されており、(1)中小企業者に限り基準取得価額の7%相当額の税額控除、(2)設備取得額に関して、普通償却に加えて取得額の30%相当額を限度として償却できる特別償却から選択して税制優遇が受けられます。

 2013年3月31日までは固定価格買取制度認定かつ10キロワット以上の設置で、取得価格の全額を償却(100%償却、即時償却)できるなどの減税策がうちだされ再生可能エネルギーへの投資が増加しつつあります。大規模太陽光発電所(メガソーラー)など投資が増加しています。

固定価格買取制度の歴史

 歴史としては、1978年米国において導入され、カリフォルニア州などにおける風力発電に貢献した法律の制定がはじめと言われています。国レベルでは1990年にドイツが採用したのが最初。ドイツでは固定価格買取制度によって再生可能エネルギーを大量に普及させると同時に生産コストを下げ、電力総需要に対するシェアを2000年の6・3%から2010年には18%程度にするなど成果をあげました。

 世界自然エネルギー白書2011によれば、固定価格買取制度を採用している国や地域は87にもなっています。また、世界の自然エネルギー市場は堅調に伸びており、世界全体に占める割合が増え続け、自然エネルギーは世界の最終エネルギー需要のおよそ16%を供給し、総電力の20%近くを供給していることが分かってきています。日本では、全体の発電量のうち水力を除いた再生可能エネルギーの割合は全体の1・4%程度となっています。

 世界の太陽光発電では、導入コストがさらに低下し年間の導入量が前年の2倍に拡大。世界一00カ国以上で追加導入されており、自然エネルギーへの投資額は世界全体で2011億ドル(約17兆円)に拡大し、前年より30%以上増加。これは2004年の投資額の5倍以上に達しています。特に発展途上国での投資が拡大し、中国が世界全体の3分の1以上を占めました。

 世界中で118カ国が自然エネルギー政策の目標や支援制度を国レベルで掲げており、その半分以上が発展途上国。このうち96カ国が自然エネルギーによる発電に関する政策を掲げ、その中で固定価格買取制度が最も一般的となりました。(世界自然エネルギー白書2011より)

固定価格買取制度の課題

 固定価格買取制度では、電力会社に買い取られた電力が「再生可能エネルギー賦課金」として0・22円/kwhと、また「太陽光発電促進賦課金」として東京電力が0・06円/kwh、もっとも高いところで九州電力が0・15円/kwhなど電力会社ごとに違いますが、今年度より賦課金が電気料金に上乗せされ、消費者や企業が負担することになります。

 今後、「再生可能エネルギー賦課金」「太陽光発電促進賦課金」は電力買取総額で年度ごとにきめられ、負担額は増加していきます。電力中央研究所では、初年度の電力会社の買取総額は2600億円で一般家庭の負担額は月あたり約87円、2015年には7300億円で約240円、2017年には1兆2000億円で約400円と試算しています。

資源エネルギー庁ホームページより転載

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 5日号より