自然素材の家でエネルギーの自給自足を実現する太陽光発電×蓄電池システム

(株)快楽住宅・ロハス自然エネルギー研究所 代表取締役 三好喜治氏

 滋賀同友会会員の(株)快楽住宅、ロハス自然エネルギー研究所代表取締役三好喜治さんに家づくり、太陽光発電と蓄電池システムについてお聞きしました。

 三好さんは7年前に建築・工務店として独立。3年ほど前に妊娠した奥さまのいるお客様の家づくりをしていたときに、「赤ちゃんの肌着のようなお家をつくりたい」とシックハウスを研究し、自然素材にこだわった家づくりに取り組み始めました。

 コンセプトを練り直し、住む人の健康や安全を第1に、家づくりにおけるすべての材料を良質な天然木をはじめとした厳選した自然素材に徹底しました。塗料などで腐朽菌や害虫を殺す材料は、人間にも少なからず悪影響を与えます。それらを「殺す」のではなく「防ぐ」住まいづくりを実践しています。それは、わが子の肌に触れるものすべてにこだわる、母親のような目線の住まいづくりを心掛けてきました。

 自然素材にこだわるといってもそこに至るまでには大変な苦労がありました。市販の自然素材といわれる建材にもアレルギーなどシックハウスの有力な原因物質と考えられる揮発性のホルムアルデヒドが使われていたり、木に含まれる水分量が多く変形の原因となるものなどがありました。

 国の規制では一定の環境や条件下で合格しさえすれば通ってしまうものがたくさんあります。有害物資でいえば、国が示した指針値は「室温23度で約0・08ppm」ですが、しかし気温が30度になれば、大きく揮発量が増えます。

 「規制があいまいである限り、快適な暮らしや住まいは消費者が何を選ぶかにかかっている」と三好さんは言います。

 快楽住宅の「ロハスの家」では、これらの物質が含まれる建材を使わず、吉野産のすぎやひのきや直送の木材を使うなど、天然由来の人や環境にやさしいものに徹底していました。

 三好さんはその後、家で使うエネルギーも自然エネルギーで環境と健康によいものはないかとエネルギーの自給自足を研究することになりました。

 ロハス自然エネルギー研究所の「ロハス」は、 Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとった略語LOHASで、健康と環境、持続可能な社会生活を心がける生活スタイルを提供するという意味が込められています。自然エネルギーの自給自足の家づくり、1ワットでも無駄なく有効利用するには、家庭で作ったエネルギーを売電するだけでなく、電気をためて(蓄電)その家で使うことができないかと研究し始めます。そこで自然エネルギーとして着目したのが太陽光発電システム。クリーンで安全なエネルギーを生みだしますが、しかし、停電や地震などで送電線が破壊された時に役立たないのが問題となりました。

 そこで、太陽光で発電した電気を一定程度ためておく「蓄電池」に着目しました。電気をためておくことができれば、停電などと関係なく電気を使うことができます。しかし、まだまだコストが高く、多様な使い方がまだできないことが問題となりました。

 昨年の夏にあるベンチャー企業と出合いました。安全性の高く、多様に使える大容量のリチウムイオン電池をつくっている会社でした。その会社と提携し、大手メーカーの半値以下で蓄電システムを提供することができるようになりました。この蓄電池は1つのシステムで複数の電池を充電でき、1個抜いても充電し続けることも可能。さらに必要な分だけ持ち運びもできる非常に使い勝手の良い蓄電池でした。自然素材の家で、そして自然エネルギーでの自給自足も可能。また、一般家庭だけでなく、特に災害時の避難場所や病院など、どんなときにも電力が不可欠な場所にも蓄電池を設置し、災害に強い地域づくりの可能性も広がる太陽光発電システムと蓄電池システムでした。

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 5日号より