特許を巡る最近の状況

【経営者のための知的財産入門】(4)

 今回は特許を巡る最近の状況について紹介します。

Q.特許って年間どのくらい出願(権利を取得するために特許庁に書類を提出すること)されているの?

A.日本への特許出願は約34万件(2012年実績)、その内、中小企業の出願は1割となります。外国への特許出願件数は、市場のグローバル化に伴い、年々増加傾向にあります(図1)。

Q.特許権は出願から20年間権利を維持することができますが、20年間権利を維持するのが普通なのですか?

A.技術の進歩や事業の状況などにより案件ごとに権利を維持する期間は異なりますが、統計では、日本で特許権が登録されてからの年数ごとの現存率は、登録から5年後で約90%、10年後で約50%、15年後で約10%に減少しています。

Q.日本で取得した特許権はどのくらい利用されているのですか?

A.国内特許権所有件数約130万件のうち、半分は利用されています。利用されていないもう半分のうち、3割は自社事業を守るため他社に実施させないことを目的に所有している権利になります。また、利用率は業種によって異なります(図2)。

Q.自分の特許権を他者に使わせる(ライセンス)こともできますが、そのような意思がある企業は多いのですか?

A.ライセンス供与が馴染まない業種や業態もあると考えられますが、日本の企業は欧米企業よりも、ライセンス供与する意思があっても、ライセンス供与の促進活動を行っていない傾向にあります(図3)。

 次回は、意匠・商標の最近の状況についてご紹介します。

特許庁普及支援課産業財産権専門官 佐藤 ちづる

「中小企業家しんぶん」 2013年 8月 15日号より