改革のスピードアップのエンジンに~中同協経営労働副委員長 山田 茂(株)山田製作所 代表取締役(大阪)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】31

 企業変革支援プログラムの活用事例を紹介する本シリーズ。今回から5回連続で「自社ではどのように企業変革支援プログラムを活用しているのか」を中同協経営労働委員会の正副委員長5名の方々に順次執筆いただきます。

 今期も前半戦が終えようとしていますね。みなさんの会社でも経営指針のチェックや来期に向けての行動が始まる方々もいらっしゃるのではないでしょうか。

 さて、トップバッターで山田製作所においてのお話です。毎年、年度始めの2月に向けて、2カ月前の11月後半から次期の経営指針に関する準備が色々と始まります。年が明けてすぐ1泊2日の全社員参加で行う方針策定会議が大きな会議ですが、重要なのは12月初旬に開催する幹部社員での課題を深める会議なのです。

 この会議に向けて宿題になるのが企業変革支援プログラムステップ1(以下、ステップ1)でのレーダーチャートと企業変革支援プログラムステップ2(以下、ステップ2)のプロフィールシートです。

 まず、それぞれのレーダーチャートを重ねあわせます。形の相違が現れます。ここで着眼しなければならないのは、点数の差ではなく、私と相似形ではない反対の方向を向き合っている項目です。ここに課題が潜んでいると判断します。

 昨年議論が盛り上がったのは、カテゴリーⅢの(1)「社員の自主性の発揮」です。36歳の製造リーダーが低い点数を付けました。Ⅲ―(2)の「共に学び共に育ちあう社風づくり」には「4」をつけているのにです。彼は、この4年間の新卒男子社員の成長スピードを問題視したのです。

 ではこれまでに社員教育のカリキュラムが無かったのか?といえばきちんとあるのです。定期的な学科・技能の社内勉強会や外部研修も、そしてOJTでは記録を残す仕組みもあるのです。なのに?です。

 毎年見直す5年後の理想像と自分の仕事がリンクしていることに気付いていないのが要因では? では、なぜリンクしていないのか? ここでステップ2を広げてそのカテゴリーにある1つ1つの確認事項や設問事項について考えていきました。

 年が明けての1泊2日の方針策定会議では、経営理念→5年後の理想像→3年後の市場予測と自社の強み弱み→方針決定→目標・行動計画と、製造リーダーが細かくかみ砕いて2日間頑張ってくれました。

 「社員参加の経営指針作成」に若手社員がやっと加わったこの1年です。経営者の私には潜在化して見えなかった課題だったのですね。反省です。そして今期から人事制度を可視化した仕組みも本格化しています。

 企業変革支援プログラムの活用は、経営者だけでは変革スピードはわずかなのです。プログラム的にいうと成熟度2点(個別的・場当たり的)です。社員と一緒にプログラムに取り組むと課題の本質に気付き、そしてステップ2で解決していくヒントを共有することになるのです。

 「経営課題なんて既にわかっているよ!」っておっしゃってる方…ぜひとも社員と一緒に企業変革支援プログラムのステップ1と2を開いてみてください。その課題の輪郭がはっきり見えてくるはずです。経営者のあなただけではなく社員さんにも! 改革のスピードアップのエンジンになります!

「中小企業家しんぶん」 2013年 9月 5日号より