課題を明確にし、「目指すべき企業像」へ―玄地 学氏 東洋産業(株) 代表取締役(宮城)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】34

 弊社では、「企業変革支援プログラム」を活用して4年目になります。最初は、自分1人でSTEP1をやってみましたが、点数を見ても「こんなもんか…」という程度にしか思いませんでしたので、当然1回やっただけで終わりでした。

 再度、取り組むきっかけになったのは、宮城の経営研究集会の実行委員長をさせて頂いた際、基調講演に来ていただいたある代表理事の会社を訪問したことでした。そこで経営指針書を見せて頂き驚きました。

 何と、当社の今年度の計画よりも、その会社の10年ビジョンの方がより明確に記載されており、当然それに伴い方針や戦略、経営計画までもが明確だったのです。

 私の「なぜこんなに明確に描けるのですか?」との問いに、「企業変革支援プログラム」を活用しているからだという返答でした。

 さらによく聞くと、ただ点数をつけてはダメで、「なぜその点数にしたのか、その理由」と、「それをどのようにしたら5点になるか」を書いてもらう事が大事なのだとの事でした。

 それを聞いて、早速自社でも同じように社員のみんなに記載してもらい、弊社の「企業変革支援プログラム」の活用が始まったわけです。実際にやってみましたが、当初は、その点数の理由を見て、腹が立ったり、落ち込んだり、素直に受け入れる事ができませんでした。

 しかし、社員が真剣に問題や課題を記載している事を、そのまま受け入れ、これを共有する事が、一番の取り組みになるとの思いで、今はこれらの結果をすべて自社の経営指針書に掲載することにしました。毎年レーダーチャートで変化を確認しながら、取り組んでいます。

 今年は、企業変革支援プログラムSTEP2を活用し、課題から経営基本方針にまでつなげる事ができました。

 STEP1でV―(3)の評価が全体的に低く、特に倉庫・在庫に関する課題を抱えておりましたが、STEP2のV―(3)のページを見て、具体的に、「倉庫改善委員会」を設置し、責任者を任命し会議の日程と取り組む内容などを決めていく事ができました。

 これまで見えなかった当社の経営課題が明確になったこと、その課題に取り組むために、全社で何をするのか(経営基本方針)までつなげる事が出来ました。

 「企業変革支援プログラム」は、ただの経営課題を抽出するツールではなく、われわれ中小企業の「目指すべき企業像」が書かれてあるものとして、これからも活用してまいりたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2013年 10月 15日号より