同友会での学びを素直に実践-(株)シケン 代表取締役 島 隆寛氏(徳島)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】36

 (株)シケンは、父が創業した会社で、歯科技工物の製造及び販売を行っており、全国に営業所21カ所、技工所6カ所を展開しています。27歳の時に先代社長から事業継承し、社長歴は今年で11年目です。

 同友会では、たくさんのことを学ばせていただき、良いと思ったことは即実践しています。経営指針を創る会で経営理念を作成してから8年が経ち、また経営指針書を幹部と一緒に更新するようになってから4年目を迎えました。

 年間400名の社員との面談も行っています。面談では社長と社員の距離を縮められ、社内の声を直接聞ける事で、会社を見つめ直すきっかけとなっています。

 製造部門の新卒採用は以前からやっておりましたが、営業部門の 新卒採用を開始して6年目になり、同時に新入社員研修も行うことになりました。

 退職率の減少は、小さな事を続けていくことでしか得られません。同友会での学びから新卒採用を行い、研修にも力を入れてきた事で、20%以上あった退職率は5%にまで下がりました。定着率が上がってきたことは、私の一番の誇りです。

 企業変革支援プログラムの採点を 2年間で3回実施したことで、当社の特徴が明確になりました。

 今年3月に幹部と実施した平均点数は、「自社の経営の主要数値の正確な把握」3・8点、「経営理念の成文化と社内の共有」3・4点、「自社をめぐる情報収集と分析」3・3点など、多くの項目で3点台となりました。急にこの点数になったのではなく、同友会での学びを素直に実践してきたからです。

 企業変革支援プログラムを活用して点数が低かったのは、「経営方針と経営計画の実行と評価」「企業の社会的役割と責任の自覚」「苦情対応や顧客との関係強化」「新事業の取り組みへの仕組みと体制」「顧客の満足度の把握」などです。

 企業変革支援プログラムを活用した事で、やるべきことが3つに定まりました。

 1つ目は「シケンメソッド」の作成です。当社の技工物の手順を作成し、どこで誰が製作しても、品質を維持できる事を目標としています。

 2つ目は、PDCAによる社内のべストプラクティスの構築です。iPadなどを使用することで、経験がないとできない営業も全員が行えるよう構築しました。

 3つ目は、新規事業の定義を明確にすることです。

 顧客満足の把握のために、4年ぶりに顧客アンケートを実施しましたが、評価が上がったことや顧客の高齢化、当社をメイン(取引50%以上)の技工所にしていただいている顧客が増加したことも分かりました。また、歯医者さんからの直接の声が、社員の励みにもなっています。

(2013経営労働問題全国交流会第4分科会報告より)

「中小企業家しんぶん」 2013年 12月 5日号より