個人消費の実態

 今後の企業の売上を左右する消費の動向について、5月2日に日銀が総務省の家計調査との隔たりが大きい(2014年で見るとGDP確報ベースの個人消費は2.6%上昇、家計調査の個人消費は0.2%低下と差)として個人消費新指標を作成、供給側の統計を使い「消費活動指数」を発表。また4月28日の日本経済新聞では、個人消費が低迷しているのに上場小売業の業績は伸びている(インバウンド消費はGDPでは輸出に分類され、2015年の百貨店の訪日客向け売上1,943億円前年比2.6倍が含まれていません。また15年3月~16年2月の小売業売上高140兆円と微減するも上場企業84社の売上28兆円7%増と格差が)と報道しました。

 では実際に消費低迷を表している需要側からの家計調査と供給側の商業動態の小売業売上額を比較して見ましょう。(表1、2)

 まず家計調査の2015年月額消費支出は28万7,373円。2000年比で90.6%、2005年比で95.6%と低迷。直近5年では11年比から101.6%、100.4%、98.9%、98.7%とまた減少傾向ですが、小売業販売額の2015年は140兆6660億円、2000年と比べて100.9%と減っておらず、2005年比では104.3%と増えています。直近5年で見ると11年比から104.1%、102.2%、101.3%、99.6%と確かに乖離は生じていますが、傾向は同じで直近は差がありません。特に食料品を比べると2000年比では差がでますが、小売業販売額と食料では2005年比104%と同じで、食料品同士の14年比もあまり差がありません。特にエンゲル係数を見れば、限りあるお金を優先的に食費に回す消費者の姿が浮かび上がっています。企業側から見てどちらに近いか判断してみてください、特に家計調査は細かい項目で推移がでています。たとえば、食品の中でも米は2000年3,243円から2015年1,822円と44%も減少、反対に調理食品は8,000円から9,018円に増加していることが分かるなど、各社の分野の消費傾向の参考になると思います。

「中小企業家しんぶん」 2016年 5月 25日号より