平和を考える例会を開催【東京】

 東京同友会では8月に平和を考える例会を開催しました。渋谷支部と池袋ビジカルランチの取り組みを紹介します。

平和や外交問題学ぶ~渋谷支部が文化企画平和例会

 8月15日、東京同友会渋谷支部は、「オバマ広島訪問の歴史的意義と課題」と題して文化企画平和例会を開催し、12名が参加。新外交イニシアティブ事務局長で弁護士の猿田佐世氏が報告者、弁護士法人パートナーズ法律事務所の原和良氏(弁護士、東京同友会会員)がファシリテーターを務めました。

 新外交イニシアティブは幅広い声を外交・政治に反映するために、情報発信・政策提言を行っているNGO。猿田氏は、情報と権力が集中するワシントンで情報を発信することが世界に情報を広げる力になること、日本も多くのロビイストを通じてアメリカ政府に働きかけを行うことで日本の政策にも影響を与えていることなど、日本とアメリカの政策決定の仕組みやオバマ大統領の広島訪問の背景などを報告しました。

 原氏から、沖縄の在日米軍の現状などについて紹介があった後、参加者で感想を交流。「2年半前に広島の平和記念資料館を初めて訪問し、経営者として何をすべきか考えるきっかけになった」、「これからの経営者は世界観を持たなければならない。このような場をもっと持つべき」などの声が聞かれました。

ゼロ才の戦争体験~東京同友会有志ビジカルランチで報告

東京同友会有志ビジカルランチ

 東京同友会の有志で行われる「池袋ビジカルランチ」では、8月24日に白坂徹夫氏(元東京同友会会員、元副代表理事)を招き、「ゼロ才の戦争体験」をテーマに例会を開催。30名が参加しました。

 白坂氏は作家・森村誠一氏の著書『悪魔の飽食』で描かれた旧満州関東軍731部隊の家族診療所で1945年7月に生まれました。旧満州国関東軍731部隊は細菌戦のための生体実験が世界最大規模で行われ、中国人やロシア人など3000名の犠牲者を出したと言われています。

 部隊内の宿舎に暮らしていた白坂氏の家族は8月11日に即時撤退を言い渡され、寝耳に水で満州鉄道を貨車で南下、ゼロ才の白坂氏は紙製のバッグをベビーベッド代わりに移動しました。

 白坂氏は生体実験の部隊に所属していたという過去に苦悩する父の姿や物が不足し人間関係も悪化していく環境で3人の子どもを育ててきた母の姿について伝え聞いた点も含め克明に報告しました。最後には、「ゼロ才で何が話せるのかという自嘲の意味を込めたテーマでしたが、ゼロ才だとしても私の経験した戦争体験は今の時代につながると思います。戦争はいったん始めてしまえば個人の良心や誇りなどはいとも簡単に吹っ飛んでしまい、誰も抗えない流れに押し流されていきます。戦争体験を今こそ伝え、この道はいつか来た道にならないよう考えていくことが必要です」とまとめました。

 本会を主宰した丸山牧夫氏((有)シリー代表取締役、東京同友会会員)は「戦争体験を通してしっかりとした歴史認識を持ちたいという意欲がわいてきます。未来について話し合うために今後も平和を主旨とした例会を開催していきたい」とまとめ、閉会しました。

「中小企業家しんぶん」 2016年 9月 15日号より