長期統計に見る赤字原因のその後

 なぜ赤字企業が増えたのかを財務省の法人企業統計の長期統計から見てみます。今回は赤字企業72.8%だった2009年と、2014年統計とを比較しての変化を見てみます(売上高の伸びを超えた項目を表にしています)(表)。2010年からは5年間黒字割合が少しずつ増えて2014年には黒字企業は33.6%となっていますが、66.4%が赤字のままです。

 2009年からの流れでは、配当金と営業純益のみが伸びて売上倍率を上回っているので黒字が少し増えたことが伺えますが、1960年時の黒字企業割合が73.1%のときと2014年との比較では、ほかは2009年とほとんど変わっていません。土地代の値上がりは収まっていますが、売り上げ32倍に対して800%増の259倍、動産・不動産・賃貸料は400%増の121倍、固定資産は200%増の78倍など固定経費を削減できれば黒字企業が増えると予想されます。

 労働分配率が中小企業では78%なのに対して大企業が56%というのが従業員給与48倍と150%のままで、よく言われる人件費が高いから赤字という理由ではないことも改めて数字では示されています。各社でも売上高の伸びと暦年の費用の伸びを比較して高いものを減らすことが黒字化の方向のひとつになるのではないでしょうか。

「中小企業家しんぶん」 2017年 1月 25日号より