「地域のみんながハッピーに」が原点(後編)(株)アズマ 代表取締役 中島 一嘉氏(福岡)

地域電力会社を地元の企業73社で立ち上げ

 前号に続き、地域電力会社を立ち上げた(株)アズマ(福岡同友会会員)の取り組みを紹介します。

 中島氏は、エネルギー資源には限りがあること、需要は増え続けること、資源の確保は容易ではないこと、日本のエネルギー自給率が6%であることなど、を学んでいきます。エネルギー問題の先進国、ドイツにも2回視察に行きました。

 そして自分が生まれ育ち、事業をしている8女市を見つめます。消滅可能性都市にも入れられ、2035年には現在の人口(6万8000人)が5万人を切る予想も出されています。また、年間約53億円ものお金が電力料金として地域外に流出していることに、「もったいない!」と考えるようになりました。

 このままでは、8女市から「ひと」も「しごと」も「お金」も流出し、やがて事業そのものも成り立たなくなる、と思ったのです。

国のエネルギー政策の転換で、2012年の再生可能エネルギー固定買取制度がスタート、資源エネルギー庁の「再生可能エネルギーをつくること。それは、日本の未来をつくること。」のスローガンを力にして、地域電力会社立ち上げに動きだしました。

 2016年電力小売り全面自由化をチャンスにして、地域を豊かにし、持続可能にすることの思いとともに、この事業では「儲ける」ことを先に考えないことも伝え賛同者を募りました。この呼びかけに、これまでの地域での活動を通じて縁のあった中小企業経営者が応じ、製造業や農業、サービス業など幅広い企業や事業所73社の出資による、全国的にみても画期的な「やめエネルギー株式会社」が創設されることになったのです。

 5月18日の事業開始式典には、支援をうける「みやまスマートエネルギー」の磯部達社長とともに、八女市長も参加。全面的な支援のあいさつがありました。

 中島氏は、このような形での取り組みが全国に広がっていけば、人口流出で衰退する地域が変わると確信しています。また、地域の中小企業が中心となって動きが広がることで、この仕組みを多くの人に知ってほしいとの思いもあります。

 近い将来には、エネルギーコストが限りなくゼロに近づき、再生可能エネルギーを軸にした動きの中で仕事が生まれ、住み続けられる豊かな地域づくりの夢を描いています。

やめエネルギー(株) 会社概要

創業:2017年1月11日
資本金:2,230万円
所在地:福岡県八女市本村425-42
電話番号:0943-22-8834
URL:http://www.yame-e.co.jp

「中小企業家しんぶん」 2017年 8月 5日号より