地域社会存続の鍵を握る同友会

連載【2019年5万名会員達成を】第13回

 中同協では設立50周年となる2019年へ向けて全国会員数5万名達成を掲げています。中同協の各専門委員長からのエールを紹介します。今回は中同協社員教育委員長の梶谷俊介氏です。

 私たち中小企業が直面している課題は、人口減少社会の中で、共に働いてくれる仲間を集め、共に成長することだと思います。「地域で人を育て、地域に人を残す」ことが喫緊の課題です。これは一企業の取り組みだけでは実現できません。地域社会全体が共通認識に立ち、今行動を起こさなければ、地域社会が消滅する恐れがあります。

 原点は中小企業で働く人々が自らの仕事、企業、地域に誇りをもって働き、暮らしていることです。教育・行政なども巻き込み、地域の子どもたちに中小企業の魅力、地域の魅力をいきいきと伝えることが重要です。

 このような中小企業が集積している地域で育った子どもたちは、地域のために貢献したいと思い、地域社会を真に支えている中小企業にこそ就職したいと志すのではないでしょうか。

 中小企業憲章には、「中小企業は社会の主役である」と謳(うた)われていますが、当事者である中小企業とそこで働く人々自身が社会の主役であるという自覚をもっているかが問われています。自分たちが主役であるという自覚が誇りにつながり、自社や地域の魅力をいきいきと語ることにつながると思います。

 社員教育は人間の本質に迫り、一人ひとりの社員が、自分が主役であると自覚できるように育ち合うことで、この輪を社会に広げることが重要です。

 中小企業家同友会は中小企業憲章・中小企業振興基本条例制定運動を通して、中小企業こそが社会の主役であるということを自覚した企業家の集まりです。また、同友会理念の自主・民主・連帯の精神は自治の原点を示していると思います。

 「共に育つ」という教育理念のもと、社会の主役として社員とともに育ちあうことをめざす同友会の会員が増えることが地域社会存続のカギを握っていると言っても過言ではないと思います。

 よりよい地域は自らがつくるという自覚を持ち、人が育ち、人が残る地域をつくるために、それぞれの地域で仲間を増やし、同友会会員5万名を達成しましょう。

中同協社員教育委員長/岡山同友会常任相談役
岡山トヨタ自動車(株)代表取締役社長 梶谷 俊介

「中小企業家しんぶん」 2018年 7月 15日号より