学校給食で得た知識と経験で家庭用の市場へ参入 (株)給材 代表取締役 宮崎 伸洋氏【新潟】

昭和43年、父・宮崎邦夫氏が学校給食用食材を取り扱う仕事を始めます。当時は子どもの人数も増え続け、業界としては学校給食に特化した仕事として成り立っていました。しかし、現在は少子高齢化が進み、30年前と比較すると子どもの数は半分近くまで減少しています。宮崎氏がこの仕事についたのが32年前、学校給食を取り巻く状況も大きく変化してきました。(株)給材では以前より、企画提案において、同業他社との差別化を図り、利益確保できる商品をコンセプトに合成添加物無添加、化学調味料不使用、地産地消、オリジナル商品の企画などを行ってきました。しかし、現在の少子化では同業者間の競争(価格下落)が激しくまた同業も合成添加物無添加、化学調味料不使用、地産地消食材の取り扱いなどに乗り出し差別化が難しい状況です。

米粉で商品開発

そんな中、10年ほど前に新潟県から「新潟県産の米粉」の紹介がありました。米粉は小麦粉の代用になる、という話で新潟県内の小麦粉を使用している食品会社は米粉で商品化を進めていきました。(株)給材も何か企画できないかと考えカレーの試作を依頼しました。カレーの主原料は小麦粉と油です。その小麦粉を米粉に変更すれば地元食材でカレーがつくれる、学校給食を考えればストーリーは完璧と考えていました。しかし、米粉は小麦粉とは別物で、根本の特性が違っていました。パン、麺、スイーツ、いろんな商品がありますが今でも各社苦戦しています。

カレーは試作依頼から1年半後に商品化されました。日本初の米粉カレーの完成です。その後改良を重ね、現在は小麦粉のカレーと変わらないレベルの商品になっています。現在は新潟以外にも東北や関東の学校給食や保育園給食でも使用されています。しかし、学校給食では思ったような販売量になっていません。当然、同じような商品が出てくるのはどの業界も同じです。

「おうちで学校給食」発売

そこで、学校給食で得た知識と経験で家庭用の市場へ参入しました。「おうちで学校給食」シリーズを発売し家庭用商品としては唯一「学校給食」という商品名がついています。子どもが減少しているということは給食を食べる子どもも減少しているということです。しかし、給食を食べたことがある人は毎年増え続けています。「給食を懐かしいと感じたり、また食べたいと感じている人も多いはず」という思いから販売にいたりました。

(株)給材の今年のチャレンジは『日本の食』をテーマにした新商品とすべての人が安心して食べられる備蓄食を提案することです。

会社概要

創業:1968年8月
社員数:18名(パートを含む)
事業内容:学校給食用食材の卸売業
経営理念:縁を大切に絆の心で食に感動を

「中小企業家しんぶん」 2018年 10月 5日号より