自然エネルギーで快適に暮らす家 エアムーブ住宅(株) 代表取締役 深川 修氏(群馬)

【あっこんな会社あったんだ】環境経営第8回

 第8回目の今回は、環境に優しい住宅づくりに取り組むエアムーブ住宅(株)の深川修氏(群馬)に話を聞きました(『同友ぐんま』第441号より転載)。

 当社は2017年に、それまでの「司建設」から社名を変更しました。社名にあるとおり、特徴のある工法で住宅を建てています。

 私自身は中途採用で入社し現場監督、設計士として家づくりに携わってきましたが、2017年に3代目社長に就任しました。先代や創業者との関係を聞かれることもしばしばありますが血縁関係はありません。いわゆる同族での事業承継ではありませんが、だからこそ歴史を引き継ぎながら、新しい視点で会社を進化させたいと考えています。

エアムーブ工法

 当社の売りを1つ選ぶとすれば、住宅工法としては日本で初めてグッドデザイン賞を受賞したパッシブ住宅工法「エアムーブ工法」です。

 太陽光や地中熱などの自然エネルギーを活用し、環境に優しい「冬暖かく、夏涼しい」健康で快適な家を真心込めてつくっています。

 もとは環境先進国ドイツで、地球環境維持の観点から開発されたパッシブ住宅。それを日本の気候風土に合わせたパッシブ住宅として、自社開発のエアムーブ工法により家の中の温度差を無くし快適さと省エネ性能をアップさせました。

 20数年前、お施主さんに喜んでもらうために高価な材料で格好のよい家を建てた松井健司氏(創業者)は、「家が寒い。何とかならないか」と相談を受け、そこから見た目ではなく、気密施工や断熱施工といった快適な家づくりを追求します。研究開発を重ね、家の中(壁や屋根裏)に二重の通気層を設け、空気の温度差を利用して室内の温度をコントロールするエアムーブ工法を開発しました。

 ほかにも、基礎コンクリートを断熱材で挟む「タイトモールド工法」。その工法技術の延長として「アンカー基礎」を開発しました。これは基礎の一角を地中に張り出す箱のように成型し、船の碇の様な働きで地震の横滑りに効果を発揮します。また、その箱形の空間は、室内で地下空間として収納などに有効活用できます。

 しかし、これらの工法は直接目に見える物ではありません。床下や壁の中、屋根裏といった見えない所に一番大事な部分が隠れてしまいます。ですが「見えない部分を大切にする」それが開発者の思いでもあり、社風にも通じています。

今後の課題とこれから

 この工法は、HPなどで解説図を見ることはできますが、建物完成後は直接見ることができません。そこで当社では、本社南側にゲストハウスを建てて見学はもちろん、体験宿泊にも対応しています。ほかにも、地域に開放しさまざまな活動に使ってもらったり、社内ミーティングを行うなど、体感しながら活用の幅を広げています。

 長年の研究開発で生まれたエアムーブ工法も、完成された工法ではありません。今なお改良、改善を繰り返し「進化」を続けています。今あるモノで満足せずに、常に進化する企業をめざし、当社にかかわる人の幸せを実現させたいと思います。

エアムーブ住宅(株)会社概要

創業:1980年
資本金:3,000万円
事業内容:建築設計・新築・リフォーム・外構工事
URL:http://www.airmove.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2018年 11月 15日号より