事業承継を調査 後継者の育成が課題【中同協九州・沖縄ブロック合同調査】

中同協九州・沖縄ブロック(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)では、事業承継に関する合同調査を実施し、662件の回答を得ました。

中小企業の後継者不足による黒字廃業や今後10年間で約半数の中小企業が世代交代を迎えるとの調査もあり、事業承継問題は中小企業経営者にとって大きな経営課題となっています。この調査は、会員企業の事業承継に対する考え方や取り組み状況を把握し、同友会で取り組むこと、行政などへ要望提言することを整理し、地域経済を支えている中小企業の企業づくりを進めることを目的に実施しました。

まず、回答者の年齢構成を見てみると、半数以上が20歳代~40歳代で、23・9%を占める60歳以上は、今後10年以内に世代交代を迎える可能性が高いと言えます。

経営を引き継いだ際の状況として、受け継いだ側に時期をたずねたところ、回答者の約75%が0~10年の間で事業承継を行っていたことが明らかとなり、その際の年齢は、34歳以下が25・3%、35歳~40歳が32・6%、41歳~50歳が29・6%で多くの場合、40歳代までに事業を引き継いでいることがわかりました。

事業承継を行うにあたっての課題を問う項目では、「後継者の育成」が28・1%、「経営理念、ビジョン、方針等の引き継ぎ」が15・7%、「後継者がいない(決まらない)」が13・7%と続き、そのほかに「社員のモチベーション」や「株式や事業資産の譲渡」など課題が多岐にわたることがわかりました。業種別に見ると、製造業では「後継者の育成」が最も多く、建設業では、「後継者の育成」「経営理念、ビジョン、方針等の引き継ぎ」に続き「社員のモチベーション」を挙げる回答が多くなりました。

また、「後継者がいない方」や「事業継続に悩んでいる方」のうち14社が「後継者が決まらなければ、廃業もやむなしと考えている」と回答、その多くが社員10名以下の企業であり、企業規模の小さいところの課題が明確です。

2018年4月の事業承継税制の改正により、相続税や贈与税に関する規制が大きく緩和されました。そのことについてたずねたところ、「知っている」との回答は37・4%、「知らない」が62・6%となり、半数以上の経営者が認知していない結果となりました。また、「知っている」と回答した人の63・8%が「税制措置を活用しようと思っている」と回答しています。

「中小企業家しんぶん」 2018年 11月 15日号より