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“想定外”ではない自然災害~急がれるリスク対策

【豪雨災害 被災状況調査(同友会景況調査(DOR)2018年7~9月期オプション調査より)】

〈調査要項〉

調査時点 2018年9月1~15日
調査対象 2,416社 回答企業 967社(回答率40.0%)(建設175社、製造業307社、流通・商業293社、サービス業184社)
平均従業員数 (1)39.2人(役員含む・正規従業員)(2)29.2人(臨時・パート・アルバイト)

 2018年7~9月期の同友会景況調査(DOR)では、6月28日から7月8日にかけて中国・四国地域を中心に広い範囲で記録された台風7号などによる集中豪雨(気象庁により「平成30年7月豪雨」と命名)の影響調査をオプション項目にて実施しました。その結果について報告します。

災害の影響

 全体では豪雨災害の影響が「ある」と回答した企業は9%、「ない」と回答した企業は80%でしたが、中国・四国地域では25%が「ある」と回答するなど、西日本を中心に「ある」と回答した企業が多くなっています。

 また、「今はないが今後出てくる」と回答した地域に着目してみると、北陸・中部で7%、近畿で7%と最も被害の大きかった中国・四国地域の近隣での影響が懸念されており、災害による直接被害、間接被害への影響は時間の経過とともに変化していくことが示されています。

 業種別では、建設業が13%で最も高く、続いてサービス業10%、流通・商業9%、製造業で6%という結果でした。最も割合の低かった製造業は、「一時あったが影響がなくなった」と回答する企業が最も多く(8%)、早期に対応した結果の「影響がない」という回答であることが推察されます。(図1)

図1 豪雨災害の影響はありますか

売上への影響

 災害後に売上が増加した企業の割合は、地域別では中国・四国(16%)、近畿(15%)、九州・沖縄(13%)の順(全体では11%)、売上が減少した企業は中国・四国(16%)、近畿(11%)、関東(9%)で(全体では9%)、やはり売上に関しては被災した地域で影響が大きいことが分かりました。

 業種による違いがあるかという点では、売上が増加した企業はサービス業(12%)、建設業(11・5%)、製造業(10%)、流通・商業(9%)と大きな差はありませんでしたが、売上が減少した企業となると、製造業(15%)のみが10%を超える割合となっており、被災地域の製造業へのダメージは小さくありません。(図2)

図2 豪雨発生直後と比べて最近の売上高は

売上増減の要因

 売上の増減があったと回答した企業に、売上増加要因についてたずねたところ、業種によって傾向が異なることが分かりました。

 売上増加要因として、建設業では「被災地に関する需要の発生」(26%、全体15%)、製造業は「部品や製品の代替需要」(21%、全体11%)、流通・商業とサービス業は「防災に関する需要の発生」(流通・商業20%、サービス業17%、全体12%)というように、業種により特徴ある結果となっています。(図3)

 売上減少要因では、「道路の寸断などの物流面での影響」、「予約・注文が入らない」と回答する企業は業種を問わず多くなっています。一方、製造業においては「被災地に直接の取引先があり、取引減少、債権回収困難増加」(13%)への指摘も1割を超え、深刻な被害が心配されます。

図3 売上増加の要因

“想定外”ではない自然災害

 上記調査に関連して、「豪雨災害により、マイナス面(キャンセル、飲食店の需要減などの二次被害)とプラス面(被災地支援に関する需要の発生)の両面が発生した(広島、製造業)」という指摘に象徴されるように、一口に災害といっても、さまざまな影響がもたらされます。即時対応できるかどうか、かつ先を見越した対策、対応ができるかが、その後の企業経営の命運を分けることになります。もはや“想定外”とはいえない自然災害への対策は、経営を継続していく上で不可欠であり、最低限、何を優先すべきかを明確にし、社内で共有しておくことは必須のことといえます。

 「地域の災害応急復旧を重点に経営を行った。会社全体の工事バランスが災害対応状況になっていくため、過去の災害時には売上増、利益減、借入増となった経験から、しっかりとした数値管理を行い、過去と同じようにならないようにする(岡山、建設業)」といった過去の教訓を生かして対策を講じていくことも必要です。

 災害発生時に事業継続していく上で必要な情報、資源、事前対策等の整理、整備を進めることはもちろんのこと、いざという時に全社で対応できるよう日頃からの訓練や点検など、継続的な改善を図っていくことが、地域の雇用を担う企業としての責務を果たすことにもつながります。

 災害対策を講じる過程において明らかになる一社では対応しきれない課題に関しては、地域、業界などでの連携も必要になってきます。俯瞰した視野で、関係者、関係機関との情報共有や関係づくりなど、中小企業は地域のインフラであるという自覚を持ち、実践していくことが、今後ますます求められています。

BCP 取組状況チェック

※中小企業庁「中小企業BCP 策定運用指針」入門診断フォームより抜粋

http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_01_3.html

「中小企業家しんぶん」 2018年 12月 15日号より

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