会員と事務局の両輪が回ってこそ増強は進む【東京】

 中同協50周年(2019年)5万名達成に向けて、各同友会の増強にかかわる事例や増強に取り組む会員のインタビューを掲載しています。今回は東京同友会の取り組みです。

 東京同友会では2014年度から現在まで300名の会員増となりました。運動の両輪として事務局も積極的に増強に取り組んでいます。

 これまでに行った5つの取り組みを紹介します。

(1)企業づくりのサイクル重視と支部づくりのサイクルの連動

 東京同友会の活動を何でもありの活動から企業づくりの一本道にするとして、経営指針、共同求人、社員教育の活動の担当者を倍に増やし、予算もかけて活動の魅力を伝えるツールや支援体制を整備しました。

 経営指針などの参加者が増え、その成果を支部に持ち帰って経営体験の例会づくりや幹事会の活性化に結び付く好循環が生まれています。

(2)運動の基準点を明確にする。同友会の利用者ではなく語り部を増やす

 会の目的や考え方、運営のルール、支部づくり、増強などをマニュアル化することで活動の暗黙知をなくし、同じ基準点を共有できるようにしました。

 また、マニュアルをもとに支部などでの学習会を進めました。事務局の世代交代に合わせて局内の共育ち研修などを実施しました。

(3)1つ1つのテーマを掘り下げて改善する

 会員の定着と増強を同じ軸で語り、「増強か定着か」という二者択一論に終止符を打ちました。オリエンテーションなどの会員へのフォローは別部門の組織として立ち上げ、改善と実践を積み重ねる形としました。

 あわせて、活動をわかりやすく伝える「同友会の歩き方」ガイドマップや起業家や後継者の入会を促進する制度なども作成しました。

 また、対外発信として記者懇談会を実施し、主要報道機関15社を毎回集め、情報発信をしています。結果14%の退会率が10%前後まで低下しました。

(4)事務局自身の増強力を高める取り組み

 事務局では「会員は経営に責任をもつ、事務局は運動に責任をもつ」として各自に支部目標と個人の会員増強目標を設定し、会員数に責任を持つことを明確にして、プロジェクトで自律的に管理しています。

 また、会員からの紹介以外で独自に入会者を拡大することに注力し、フェイスブックやユーチューブなどのソーシャルメディアの活用やホームページから直接入会手続きができる仕組みを整備しました。会員紹介によらない入会を全体の20%まで拡大できています。今後は30%~50%に増やしていく予定です。

 事務局では会員増強や日常活動などのテーマで4名1組のチーム制を実施しています。ベテラン事務局の入会説明のノウハウを若手が聞き取り、マニュアル化して局内で研修を行うなど個別スキルの強化にも努めています。また、多様な入会ツールを作成し、力量の個人差をカバーしています。

(5)事務局自身がよい会社になる。会員の拡大と事務局の改善は不離一体

 会員の拡大と連動して事務局自身がよい会社になることを強く意識し、職場環境の改善に努めてきました。働き方の小さな改善を重ねて、残業時間は5年前の半分にまで削減しています。そのほか「会議で毎年出てくる問題」を放置せずに局内の知恵を集めて改善しました。

 東京同友会では「活動の質と成果を高めかつ環境の改善を両立すること」が大切であると考えています。

入会ツールのひとつである同友会解説ボイスドラマ。東京同友会の若手事務局員が中心となって企画・作成しました。左のQRコードから閲覧できます。

「中小企業家しんぶん」 2019年 1月 15日号より