「広島を元気にしよう」理念追求型の連携~広島信用金庫との連携【広島】

 2015年5月、広島同友会は広島信用金庫と「広島を元気にする協定」を結びました。広島信用金庫から「創業70周年を機会に、地域とともに歩む金融機関として、地域を元気にするための活動を広島同友会と一緒にやりたい」との提案があり、広島同友会の基本姿勢は「国民や地域とともに歩む中小企業をめざす」であり、両者の基本的な考え方が一致、協定を結ぶことになったものです。

 金融機関と中小企業団体との連携はたくさんの事例がありますが、その多くは「金利に差をつける」というもので、広島信用金庫との理念追求型の連携協定は、稀有な事例です。

 調印して約4年。この間、双方の役員職員合わせて約20名で構成する「広島を元気にする会議」を26回開催してきました。最初の1年は、「知りあう活動」と位置づけ、同友会活動の柱、例えば、「経営指針の成文化」、「共同求人や社員教育」、「中小企業振興条例の制定」、「新しい仕事づくりの取り組み」などの学習を行い、同友会は「人を生かす経営」を大切にしていることを確認し続けてきました。

 続いて、クラウドファンディングや採用問題、事業承継問題などを深め、一部は全会員向けの勉強会に発展しました。特に、事業承継セミナーは2年にわたって8回、のべ171名の会員が参加しました。

 地域では「まずお互いを知ろう」ということで、7つの支部の役員とそれぞれの地域の広島信用金庫の営業店の役職員との会合を持ち、(1)広島信用金庫が力を入れて取り組んでいることや(2)会員企業の経営状況を報告しあい、交流しました。

 その後、各支部・地区会の例会に支店の役職員が参加、例えば2017年度は39回の会合に、のべ228名の役職員が参加しました。

 「人生お互い様プロジェクト」にも取り組んでいます。創業支援の一環なのですが、「今頑張っている現役経営者も創業したころは、先輩経営者の支援を受けて育って今がある。その支援に感謝への思いをこれから起業する若い人たちに支援というカタチで返そう」。これが人生お互い様の心です。マンツーマンの本業相談を13回、事業計画の評価・助言を4回、セミナーという形での創業体験談と助言を6回行っています。

 こうした活動に加え、18年度から同友会への「会員紹介活動」をスタートさせました。同友会にとっては願ってもないことですが、広島信用金庫にとっては「同友会を紹介することにより、学習の場をつくり、取引先の課題を解決することで地域活性化につなげよう」との趣旨です。40支店から50人の紹介があり、22名を会員に迎えました。(2月末現在)

 「広島を元気にしよう」という理念追求型の連携は、何度も顔を合わせる中でお互いの垣根は小さくなり、「なんでも言い合える関係」へと広がり始めています。

「中小企業家しんぶん」 2019年 5月 5日号より