【『働く環境づくりの手引き』の活用を(3)】未来年表と付加価値(生産性)向上計画

 中同協は『働く環境づくりの手引き~経営指針を全社一丸で実践するために~』を発刊しました。前半は解説編、後半は実践編として連載で本書の概要などを紹介します。今回は第5章「未来年表」、第6章「付加価値(生産性)向上計画」についてです。

 第5章は、未来年表(働く環境の10年ビジョンを達成するための未来計画)の作成です。未来年表は「働く環境づくりの10年ビジョン」と「現状分析」を踏まえ、その両者のギャップを10年の期間でどのように埋めていくのかを年単位のタイムスケジュールで考えるものです。

 10年の期間のステップを考えるうえで大切なことは、ステップを「現状からの積み上げ」ではなく「10年ビジョンと現状とのギャップを踏まえて、逆算で考える」ことです。

 未来年表記入シートを利用し、(1)「社会・業界・会社」について、(2)「社員と家族の将来」について、(3)社内の働く環境について、の3つの視点から計画を検討します。

 第6章は、付加価値(生産性)向上計画について記述しています。

 働く環境の10年ビジョン」や未来年表で掲げた目標を達成するためには、付加価値を高めることや生産性を高めることが鍵となります。第6章では、付加価値の向上を図るための3つの壁((1)経営者として、当然あるべき知識や意識、理解の遅れという壁、(2)低い生産性の壁、(3)中小企業を取り巻く経営環境の壁)などがあることを提起。付加価値(生産性)の向上は単に人事面の課題だけではなく、事業領域の見直しや社員教育、経営環境改善なども含めた総合的な課題でもあり、働く環境の改善についての課題と解決策を経営指針に盛り込み、労使が力を合わせて全社一丸となり取り組んでいくことが重要であることを強調しています。

 また、付加価値(生産性)向上計画を作成する手順として(1)付加価値(生産性)向上の意義を理解する、(2)付加価値(生産性)向上の課題・改善策を検討する、(3)経営指針などに整理する)の3つのステップを提示、さらに同計画を検討する視点(例)や記入シートの参考例を示しています。

「中小企業家しんぶん」 2019年 5月 15日号より