『熊本地震の記録 一歩ずつ』震災の教訓を残す記録集発行【熊本】

 熊本同友会は2016年4月に起きた熊本地震の教訓をまとめた記録集『平成28年熊本地震の記録 一歩ずつ』を発行しました。

 熊本地震では、14日の「前震」は益城町で震度7、16日の「本震」は益城町および西原村で震度7を記録し、わずかな間に震度7の地震が同一地域で連続して発生したのは、観測史上初めてのことでした。人的被害は3000名以上にもおよび、住家被害は19万8105棟(2019年3月13日現在)と地域に大きな被害が生じました。復興は徐々に進む中、いまだに応急仮設住宅などで不自由な生活を余儀なくされている人が県内に1万7912名いるとされています。

 記録集では各メディアで取り上げられた震災当時の様子がわかる写真を掲載。また、広浜泰久・中同協会長、蒲島郁夫・熊本県知事、大西一史・熊本市長、早咲京子・前代表理事、木村正夫・代表理事のあいさつが寄せられています。

 第1章では「会員体験記」として、27社の震災直後の対応と熊本同友会機関誌『熊本羅針』の企画「平成28年熊本地震を振り返って」に掲載された7社の事例がまとめられています。SNSでの連絡共有や県内外からの支援物資の提供などの詳細な記録は、どの地域でも災害がおきかねない時代にあって震災時の想定に役立ちます。また、商品や建物などの被害が深刻でありながら、危機を乗り越えて経営を発展させている姿が印象的です。

 第2章では「日誌」として、2016年4月から2019年1月までの熊本同友会と県全体の主な動きがまとめられています。特に発生から3カ月間は1日ごとの対応が事細かに記載されています。

 第3章の「資料」では、中同協で作成されている震災復興指針書や同友会事務局災害対応チェックリストが掲載されています。

 発刊に寄せて、早咲氏は「災害が続く今、人命を経済の下におかず同友会理念を大切に、SDGs(持続可能な開発目標)へ共感し、環境や社会問題を見据え、持続可能な熊本の最も望ましい姿を思い描き、それを現実化していきたい」と述べています。

「中小企業家しんぶん」 2019年 6月 15日号より