生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる~赤石さんから学び、継承し、新たな創造へ 宮崎同友会が「あかいし文庫」を開設

 故赤石義博氏(元中同協会長・相談役)の遺された蔵書1,400余冊を収納した「あかいし文庫」が、宮崎同友会事務局にオープンしました。同友会とともに、そのリーダーとして活動された赤石氏の《生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる》に結実された思索の足跡を知り、また、本によっては朱線や書き込みもあり、赤石氏の肉声に接することができます。

 赤石氏が亡くなられて1カ月半後の2016年4月22日に開かれた「偲ぶ会」(中同協主催)に宮崎同友会から3名が参加。翌日、千葉県柏市にある赤石氏のご自宅を訪ねました。そこで出会った書斎の3面の天井近くまで埋め尽くされた書棚いっぱいの書籍。テーマごとに分類されて付箋紙で表示されている書棚に、3人はあらためて赤石氏のお人柄を偲びました。

「遺された本はどうされるのですか?」

「このままにしておいても…ね。どこかで預かっていただいて、同友会の皆さんのお役に立てるなら全部お願いするんだけど…」

 この奥様の一言で「あかいし文庫」プロジェクトは動き始めました。中同協三役会の了解を得て、同年7月1日と2日に再び赤石氏のご自宅を訪ねて蔵書のすべてを箱詰め。段ボール28箱に箱詰めされた書籍と資料、赤石さんが描かれた油絵2点が宮崎同友会事務局に運びこまれました。

 目録づくりに始まり、今年に入って書棚づくりが始動。壁の張り替えと据え付け、「あかいし文庫」扁額と上部の装飾、そのほか細部にいたるまで、多くの会員の技と工夫が集まって、宮崎同友会事務局の一角に「あかいし文庫」が完成しました。

 一方では開設式の内容づくりの論議も重ねられました。中同協の支援も得て準備がすすみ、青空の広がる5月25日、赤石育子氏(故赤石義博氏ご令室)をお招きし、全国からの7名も含め52名が参加して、開設式とパネルディスカッションを中心とした交流懇親会が行われました。

 「本が居場所を見つけ、誇らしげに『僕たちここにいるよ』と言っている声が聞こえるようです。家では仕事の話はしない人でしたが、たくさんの種をまいてきた人なんだなと、夫の知らなかった一面に触れることができました」―奥様からのあいさつに参加者は胸が熱くなりました。

 「同友会運動の役に立てたい」というご遺族の志をうけて、全国会員の皆様に開放し、幅広く活用していただきたいと宮崎同友会では「あかいし文庫」友の会を設けました。

 その目的は、(1)文庫の利用を通して同友会会員の学びと交流を高める、(2)赤石氏の生きざまに学び、その思いを未来につなぐ、(3)文庫の維持・運営を相互に支え、持続発展させていく、の3点です。「目録のこのページの本が読みたい」―友の会に入会した県内外の会員から借り出しの連絡が寄せられています。今後は「あかいし文庫」のホームページの開設や「文庫通信」の発行なども行っていきます。ぜひご支援とご活用をお願いします(友の会の詳細については、宮崎同友会事務局にお問い合わせください)。

宮崎同友会事務局長 結城 美佳

「中小企業家しんぶん」 2019年 6月 25日号より