「最低賃金引き上げ」に対し、代表理事談話を発表【東京】

 政府が最低賃金を全国加重平均1,000円に引き上げる方針に対し、東京同友会は6月11日に三宅一男・東京同友会代表理事の「最低賃金引き上げに対する当会の主張」と題した談話を発表しました。

 談話では、最低賃金の理念は122年前のイギリスにおいて「国家が国民の最低生活を護る責任を有する」というナショナルミニマムの1つとして誕生したことを引用し、昨今の情勢をふまえ、最低賃金の確保を国とともに中小企業が担うための3つの条件を提示しています。(1)中小企業に対する法人税や社会保険料等の減免等の原資によって企業が最低賃金を確保できる環境を整備すること、(2)懸念される地域格差は原資となる減免幅に地域格差を反映させること、(3)消費税増税を強行する場合は「給付付税額控除制度」の導入などによってセーフティネットの整備を図ることの3点です。

 談話の最後には「私たちの主張」として、「性急な引き上げは、中小企業の淘汰を加速し雇用の場を奪い、ひいては国民の利益を損なうことになりかねません」と警告し、「私たち企業家は義務としての最低賃金ではなく、経営者としてナショナルミニマムを超える賃金の支払可能な企業体質をめざし、社員とともに自主的、自律的に企業経営にまい進することが求められます」とまとめられています。

 東京同友会では6月11日に第12回記者懇談会を開催し、報道機関13社16名が参加。冒頭に、三宅氏から「主張」を発表しました。ほかに、中同協第51回定時総会や企業経営実態調査アンケートの結果発表、会員からの米中貿易摩擦の影響や新卒の採用状況、賃上げや働き方改革の事例報告を行いました。

「中小企業家しんぶん」 2019年 7月 5日号より