新卒採用の通年化に対する意識

 内閣府は7月23日に「令和元年度年次経済財政報告」を発表しました。第2章で労働市場の多様化とその課題について、企業における新卒採用の通年化に対する意識に触れています。多様な人材を確保するには、新卒の一括採用という日本的な雇用慣行が課題であり、新卒の通年採用など、採用方針を柔軟に見直すことが必要との見解を示しています。

 さて、内閣府企業意識調査により企業の通年採用の導入状況を見てみます。調査では33.3%が通年採用を導入済み、3社に1社はもうすでに通年採用であることがわかります。22.4%が導入を検討中で、28.7%が導入の予定なしとなっています。15.6%がそもそも新卒採用をしていないと回答し、中途採用を重視している企業もそれなりにあるといえます。

 新卒の通年採用についてのメリットの認識では、「予定人員を確保しやすい(内定辞退に対応可)」「より自社にマッチした人材が獲得できる」「閑散期採用活動ができる」などの回答が多くありました。デメリットに関しては、導入済み企業では「特にデメリットはない」との回答が一番多かったものの、次に「採用コストが高い」との回答が続いています。未導入の企業では「採用後の研修・配属が容易ではない」「採用コストが高い」「学生のすべり止めに利用される」とのデメリットがあると認識しているようです。

 今後、大手企業中心に新卒採用の通年化が進む中、中小企業の採用のあり方も検討しなければならない状況になってきています。

表 新卒の通年採用メリットとデメリット

「中小企業家しんぶん」 2019年 8月 25日号より