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【防災の日特集】安全・安心な地域と企業をめざして

9月1日は防災の日。全国的に自然災害が多発する中、災害対策は大きな経営課題のひとつとなっています。防災に関する商品開発に取り組む会員企業2社の実践、北海道同友会の全道事務局一斉防災訓練の取り組みを紹介します。

食物アレルギー27品目不使用の「安全」「安心」な防災備蓄食

(株)給材(新潟)

 (株)給材(宮崎伸洋代表取締役、新潟同友会会員)は、学校給食用食材卸を中心に、さまざまな自社企画の商品を手がけています。新潟県は全国的にも給食専門業者が多いこともあり、競争も激しく価格は下落する一方でした。その中で同業他社とは違う商品で、お客様から必要とされる会社にならなくてはと「学校給食=安全安心」をテーマに新しい取り組みを始めました。

 社長の宮崎氏は、新潟中越地震や新潟中越沖地震の際に炊き出しやお弁当などを手配した経験があり、東日本大震災では新潟同友会を中継地として東北への支援物資のルートをつくり、炊き出しなどの支援の中心を担った経験もあります。

 このような経験からひらめいたのが、「防災」と「学校給食=安全安心」を組み合わせた「3Days防災備蓄食セット」。国が推奨する1人用3日分の食料がダンボールに梱包されたセットで、アレルギーを引き起こす原因となる卵や小麦など「特定原材料」7品目と、それに準じる20品目の計27品目を使っていない食品でまとめられているのが特徴です。

 災害から避難している人の中にアレルギーを持った人がいても、調理不要で安心しておいしく食べることができます。防災備蓄においてもだれもが安全安心に、と商品を通じて新しい価値観を提案しています。

全道事務局一斉防災訓練を実施

北海道同友会

 昨年9月6日に胆振東部地震と、全国初の全域停電を経験した北海道同友会では、9月2日に全道8つの事務所で一斉に防災訓練を実施。50名余りが参加しました。

 午前6時過ぎに「未明に震度6強の地震と津波が観測され、各地で停電・断水が発生」との連絡がe.doyuの「災害情報掲示板」に上がるところから訓練は始まりました。

 全道の事務局員は各自の安否情報を返し、出勤か自宅待機かの指示を受けて出勤。消防署へ火災の発報練習の後、避難訓練と消化訓練を行いました。とかち事務所では消防車が出動してサポートするなど、各地の消防署の協力もありました。

 その後、昨年12月に策定した「災害対応マニュアル」の読み合わせ学習と、非常用トイレなど災害用備品のチェックを行い、各自の役割と現状の問題点を確認しあいました。

 この「マニュアル」は、胆振東部地震直後から北海道同友会事務局で作成に着手したもの。「はじめに」では、「災害時には会員、事務局及び家族等の人命を最優先に考え、その後災害復興の拠点となるべく事務局を復旧します。同友会の事務局は、組織と会員の生命と利益を守り、危難に瀕した会員が結集する旗印となります」と呼びかけています。会合中・外勤中・勤務時間外における事務局員の行動基準、初期対応と二次対応、防災訓練の実施要項をまとめ、今年2月に全事務局員に周知。どこでも確認できるよう、スマートフォンにブックマークしています。

 今後は局内の安全衛生委員会で、課題の検証と改善策を提起する予定です。

防災意識を持ち歩く

(株)カスタネット(京都)

 京都市南区でオフィス用品を中心に取り扱う(株)カスタネット(京都同友会会員)の植木力社長は、「いつも社会と共鳴する企業をめざす」という企業理念のもと、何かできないかという思いから、東日本大震災の直後から被災地へ通い被災者の声を拾い続けました。被災状況に応じてニーズが違う上、人間関係ができていないと被災者の本当の声は聞くことはできないからです。

 時間をかけて声を拾い上げていく中で、プライバシーの問題が被災者の心に傷を残したことに気がつきました。被災者が「あの恥ずかしい思いは一生忘れることができない」と語ったトイレや着替えの問題を解決したいと「マルチポンチョ」を開発し、熊本地震の際には6,000枚を寄付し大変喜ばれました。

 本格的に防災用品の取り扱いを始めると、従来の防災グッズにさまざまな問題があることがわかってきました。被災地では従来備蓄していた防災用品はあまり使用されていません。そもそも普段使い慣れていないものは非常時にも使いづらいのです。

 防災用品には災害発生時にすぐ持ち出す一次防災と避難後に落ち着いてから改めて持ち出す二次防災があり、倉庫に備蓄されているグッズは二次防災用品です。また一次防災用品として採用されている防災リュックは、高価な上にデスクに保管場所を確保しにくく、結局ロッカーなどにしまい込んでしまう人がほとんどです。

 そこで開発されたのが紙製品の「そのまま持ってけBOX」です。A4サイズで引き出しにそのまま入ります。被災企業が事業再生できるかどうかは、従業員への被害の大きさで大きく異なります。そのため、防災用品は性別、年齢、通勤方法によって各自がカスタマイズできる仕様になっています。自分にどのようなグッズが必要なのか考えることは防災意識の向上にもつながっています。また、同社が取り扱うオフィス用品はもともと防災要素があり、BOXに入れるものは従来取り扱っている商品も多く含まれるため幅広いニーズに応えることができています。

 そして、BOXは広島の平和記念公園に届けられる折り鶴でできています。単なる紙のリサイクルではなく「平和への想(おも)いをリサイクル」するのです。鶴を折り紙に戻す作業とBOXにひもを通す作業は広島と京都の障害者施設が担っており、これも同社の企業理念に基づく取り組みです。

 植木社長は継続して被災地へ足を運ぶなかで、日に日に震災の風化を感じています。「そのまま持ってけBOX」には防災グッズと一緒に「防災意識も持ち歩いて」ほしいという思いが込められています。

「中小企業家しんぶん」 2019年 9月 15日号より

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