台風15号の爪痕深く~千葉同友会が災害対策本部

 9月9日午前5時前に千葉市付近に上陸し、57・5メートルの最大瞬間風速を記録した台風15号は、交通網の乱れ、建物の損壊、停電、断水など千葉県南部を中心とする広い範囲に甚大な被害をもたらしました。特に強風で送電網が破壊されたことによる停電はピーク時64万戸とも言われています。千葉同友会では災害本部を立ち上げ、義援金募集などを開始しました。

 千葉同友会では会員からの被害状況の確認を行い、被災報告が続々と寄せられています。屋根が吹き飛び機械が水浸し、建屋の倒壊による商品の破損、シャッターの破損、停電により店舗の営業がストップ、停電による冷蔵・冷凍品への影響などの被害や「続く停電の中で作業していた社員が熱中症にかかる」「宴会予約のキャンセルが相次ぎ、1000万円近い売上ダウンの見込み」「電気が復旧しても電話・FAX・ネットがつながらず取引先との連絡が取れない」などの2次被害も報告されています。

 南房総市で建設土木業を営む(有)若林製作所の若林康弘社長は、「9日朝、社屋前の電柱が倒れ、電線が雨水に浸かりあたり一帯に漏電した痕跡があった。自社も屋根が吹き飛び重機が水浸しに。人的被害はなかったが、今も向かいの住宅は停電中。自社の電気は復旧しており、とにかく仲間のネットワークを活用して屋根の修理などにあたっている。高齢者の多い地域なので、県外から来た悪徳業者に引っかかってしまうケースも聞いており、注意を呼び掛けている」と前向きに話しました。

 同じ地域でも被災状況がまったく異なるため、被災しながらも復旧のためにできることに取り組んでいる会員が数多く見られます。大網白里市の不動産会社・大里綜合管理(株)(野老真理子代表取締役)では、停電の中発電機で電話線をつなぎ、地元住民の電話に対応。被災3日目にして市役所を上回る175件の被害状況が寄せられ、水の提供、自転車の貸し出しなどできる限り相談に応じていました。

 被害状況が深刻な館山市・南房総市の会員が所属する、安房支部の飯田晴夫支部長((株)I・N・S代表取締役)は救援拠点で物資の受け入れと配布に尽力しつつも「町内会の班長・組長・区長という連携がうまく機能しないこともあり、どこにどういった支援が必要なのか、取り残されているお年寄りはいないか、といった情報が十分でなく対応が遅れている。自治防災が今後の大きな課題ということが明らかになったのでは」と述べました。

 千葉同友会では台風15号災害対策本部を立ち上げ(本部長・赤海章義代表理事)、被災企業救援のための義援金を集める活動を始めました。10月末をめどにしています。

「中小企業家しんぶん」 2019年 10月 5日号より