トランプ不況に消費増税不況で二重の不況加速か

同友会景況調査(DOR)速報【2019年7~9月期】

 同友会景況調査(DOR)130号(2019年7~9月期景況調査)の速報が発表されました。

 世界経済はトランプ政権の強硬姿勢を背景にした米中貿易戦争による企業心理の悪化などから不況局面に向かいつつあります。一方、日本経済も景気停滞の中での消費増税実施と、中小企業景気も正念場を迎えています。

 業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)などの主要指標は、前期とほぼ変わりませんが、すべてマイナス圏、業種別では建設業、流通・商業で回復、製造業とサービス業で悪化と対照的な動きとなり、地域経済圏別では大都市圏の悪化が目立ちました。

 次期は業種・地域・企業規模を問わず悪化を見込み、トランプ不況と消費増税不況の二重の不況加速を警戒しています。

 採算面では、仕入単価の上昇は落ち着いたものの、需要停滞を背景に製造業での生産性悪化が目立っており、危惧されるところです。

雇用面に関する指標は前期の水準を維持していますが、人材不足感は緩和されました。しかし、建設業に限っては、不足感が強まりました。

 このような経済動向を受け、業種により経営上の問題点に違いが出てきました。建設業とサービス業では「従業員の不足」が、製造業と流通・商業では「民間需要の停滞」を指摘する割合が高くなっています。国内外情勢が複雑に絡みあった中での難しい判断とかじ取りが今後も続きそうです。

 速報の詳細は中同協ホームページをご覧ください。

「中小企業家しんぶん」 2019年 10月 25日号より