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関西と東海の逆転現象~製造業の人口吸収力の低下が影響か

 人口移動というと関西と東海の変化が微妙です。多くの人は関西の「地盤沈下」に思いを致すのではないでしょうか。ところが、関西・東海ともに人口は転出超過ですが、2018年の実績では関西の転出規模が東海を下回ったようです。

 これは関西が待ち望んだ逆転劇。なぜ、こうなったのか。はたして、関西の「地盤沈下」のイメージがぬぐわれたのでしょうか。

 この辺の事情を思うと考えさせられることがあります。大企業製造業の人口吸収力です。中小企業製造業はなかなか太刀打ちできません。自動車や電機の大手が新工場を建設し、従業員は言うまでもなく、期間工や派遣労働者が全国から集まりました。関西も東海もともに、この時期は人口移動が好調でした。

 ところが第1に、少し前からパナソニックなど電機・家電中心に振るわなくなります。そして第2に、今回の景気局面でも製造業はだんだん悪くなり、人口吸収力は明らかに落ちています。

 第1の要因は、大企業製造業の電機・家電などが国際競争力を保てなくなったことが主因です。いろいろと原因はあると思いますが、作り方が変わったことです。アップルなどのソフトに基づいて、アジアのEMS(電子機器受託製造サービス企業)が量産するという役割分担の構図が定着したこと。また、デジタル家電化で品質の高さよりも新製品投入の頻度が決め手となっているなどが考えられますが、こちらの方は別の機会に論じたいと思います。

 第2の要因は、本題の大企業製造業の人口吸収力が落ちてきていることです。その大きな要因は生産の自動化にあると解釈されます。ロボットなどの導入が進み、現場で必要な人手は大きく減っています。

 その間、関西ではインバウンド(訪日旅行客)市場が急激に拡大しました。それに伴い、小売や宿泊などサービス関連の雇用が増え、人口移動の改善も進みました。人口移動を生む源泉も製造業からサービス業に変化してきています。

 直近の動きから判断すると、2019年は関西と東海の差がさらに開きそうです。サービス業の拡大とともに今後も広域から人口の流入が続きそうな勢いです。

 しかも、関東では東京五輪の建設関連が一巡する一方、関西では万博の開催が近づいてきます。今後は建設人材の関西への移動も進むことになるでしょう(りそな総合研究所主席研究員・荒木秀之「十字路」日本経済新聞、2019年10月24日夕刊・参考)。

しかしながら、人口移動に右往左往する必要はないかもしれません。東海は東海で、例えば自動車産業の一層の興隆とサービス産業化をめざしたり、航空宇宙産業の本格的な発展を期して取り組んだりすればよいのです。

 中小企業はそれらの動きを見ながら、それぞれの経営戦略・将来ビジョンを立てて取り組んでいきましょう。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2019年 11月 15日号より

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