【連載「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて】第3回 学校教育と社会がつながる教育の推進

新しい学習指導要領スタート

 2020年度から、新しい学習指導要領に基づく学校教育が始まります。新しい学習指導要領がめざすのは「社会に開かれた教育課程」の実現です。前回まで解説した新しい学習指導要領の理念である「社会に開かれた教育課程」の実現には、さまざまな方面からの取り組みが必要です。今回は、企業などの関係者も含まれる「社会」の側から学校教育を眺めつつ、「社会教育」の重要性や、企業などのかかわり方についてお知らせします。

 「社会に開かれた教育課程」の実現は、学校だけで一方的に進めるものではなく、社会との連携・協働により双方向で進めることが大切です。教育行政においては「社会教育」という取り組みがあり、簡潔な表現でイメージを捉えると、「社会『とつながる』教育」と表現することができます。

 「社会とつながる教育」というイメージは、学校で学ぶ児童生徒の視点に立つと、用意された実践や体験などの機会を通じて、学んだことや、その学びのプロセスが、「社会」というフィールドに立った時にどのように役に立つのか、ということの「気づき」につながるものであり、そうした学びの機会・仕組みを意図的に用意していくことが、社会教育の営みの1つです。例えば企業などの関係者が講師となって学校や地域で行う出前学習講座などにより、子どもたちが本気の大人と接することを通じて「社会」の一端を知ることで「なるほど、だから学ぶのか」という気づきを生じさせ、子どもたち自身も地域社会の一員であると認識することができます。こうして、子どもたちの主体性や自己肯定感を育み、自立・共助の人格形成を効果的に進めていくことに学校と社会との連携・協働で進める教育の本質があると言えます。

 文部科学省では、webサイト「学校と地域でつくる学びの未来」にて、学校と地域の連携・協働にかかる全国各地の取り組み事例や企業などによる教育プログラムなどの情報提供を行っています。企業の方々におかれても、参考にしていただきつつ、これからも子どもたちの教育活動に積極的にかかわっていただけますと幸いです。

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「学校と地域でつくる学びの未来」ウェブサイト
https://manabi-mirai.mext.go.jp/

文部科学省総合教育政策局地域学習推進課

「中小企業家しんぶん」 2019年 12月 5日号より