同友エコ(環境経営・エネシフ・SDGs)アンケート結果の報告とまとめ

同友エコ(環境経営・エネシフ・SDGs)アンケートについて

 2009年から毎年実施してきました同友エコは、当初、会員企業が取り組んだCO2削減量の取りまとめを主な目的にしていました。この間、CO2削減から発展して、最近では自社で環境に取り組む「環境経営」が広がってきました。そこで、同友エコも前回からリニューアルし、会員企業の環境経営に対する取り組みの実態と先進事例の把握を目的とした、e.doyuによるアンケート方式に変更しました。今回はさらにその方向を推し進め、分野別の取り組みや再エネ事業への取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)の設問も新設。2019年8月19日から同年10月31日まで同友エコ(環境経営・エネシフ・SDGs)アンケートとして実施し、22同友会から638社の回答がありました。

結果報告

(1)環境方針の策定をすすめましょう

 回答企業のうち、経営指針については「ある」が72.68%で、多くが同友会の先進企業でした(図1)。しかし、他方で、環境方針については「ない」が81.48%で、環境方針の策定を広めることが今後の課題といえます(図2)。

 また、回答企業のうちEMS(環境マネジメントシステム)認証取得企業は約10%で、他方、「取得予定もなし」が77.21%でした。ただ、取り組みが進んでいる回答企業にはEMS認証取得企業が多い傾向があり、CO2削減量の把握をはじめ、環境経営にEMS認証取得は有用であり、認証取得の啓発、普及の必要を感じました。

(2)取り組み内容の特徴

 具体的な取り組み内容についてそれぞれの延べ回答数は、事業活動へのインプット削減(1,224)、アウトプット抑制(970)、自社製品サービス(751)、地域での取り組み(554)でした。事業活動へのインプット削減では節電などエネルギー節約の取り組みが416社、アウトプット抑制ではリサイクルが286社、自社製品サービスに関しては、製品の回収・リサイクルが195社、地域での取り組みは、地域の清掃や緑化活動が251社で、それぞれ最も多い回答でした。地域の清掃や緑化活動では、これらを通じて地域の他の関係者とかかわり、地域課題への積極的な取り組みにも発展していることが自由記述からうかがうことができました(図3)。

(3)各分野での先進事例

 今回のアンケートでは、環境への取り組みがビジネスチャンスとなりつつある、建設業・廃棄物処理リサイクル業・農林漁業の3つの業種を取り上げてみました。

 建設業関連の取り組みでは、省エネ小エネ改修(リフォーム)が44社ともっとも多く、地元産材や国産材の活用が39社、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)が26社、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)も7社が取り組んでいました。

 廃棄物処理リサイクル業関連では、処理困難物の分別やリサイクルが28社、処理困難物の適正処理が22社、再生(リサイクル)材による新製品開発や利用促進も20社が取り組んでいました。

 農林水産業関連では、有機認証やFSC(森林認証)、ASC/MSC(水産認証)の取得あるいは近々取得が5社あり、農林水産業6社以外にも広く、地産地消が17社、地元産品の普及や新規販売先の開拓が16社が取り組んでいました。

(4)再エネ関連の取り組み

 今回アンケートでは、エネルギーシフト中核事業である再エネ事業への取り組みや再エネ電力利用も新設しました。

回答企業のうち110社から取り組んでいるとの回答がありました。そのうち、FIT(固定価格買取制度)法適用の再エネ事業は、主要な事業としているのが21社、それ以外の屋上パネルや屋根貸しなどが47社ありました。再エネ種別では、太陽光が124社で再エネ利用の67%を占めました。

 他方、再エネ発電電力(グリーン電力)利用については、再生可能エネルギー100%利用3社、同50%以上2社、50%未満9社に止まり、これから普及を進める課題がわかりました。

(5)SDGs

 今回、新たにSDGsの設問も設けました。回答社の関心は高く、延べ回答数576社、特に、環境の取り組みが進んでいる企業ほど積極的に回答が多い傾向が見られました。

今後も御協力ください

 今回のアンケート結果の回答集計と取り組み事例(回答企業の自由記述)は、e.doyuに掲載しています。特に、回答企業の取り組み事例は環境経営のヒントが満載されていますので、ぜひ、参考にしてみてください。

 今年もまた、8月ごろから同友エコ(環境経営・エネシフ・SDGs)アンケートを実施します。皆さまの御意見も踏まえ、広く環境経営に関心のある会員企業に答えやすい内容に改善しています。ぜひ、ご協力ください。

中同協環境経営委員長 赤津 加奈美

「中小企業家しんぶん」 2020年 2月 5日号より