会員増強が進む日田支部 新型コロナに対し地域経済への支援に取り組む【大分】

増強の取り組み

日田支部はこの2年間で37名から55名に会員数が増えました。支部幹事会で入会候補者の情報を出しあい、紹介会員がアポを取って支部幹事や事務局と会社を訪問しています。同友会で学び、会社が成長している会員が自信を持って経営を語るからこそ、入会者が増えています。新会員オリエンテーションを行うことで、退会もほとんどなく会員が増え続けています。

新型コロナウイルスによる景気への懸念と取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大による地域経済の停滞が懸念されたため、支部幹事が会員企業の経営状況を聞き取りしました。「9割近い仕事が減少している」「人員削減を検討している」企業もあり危機感を覚えましたが、まだ影響を受けている会員企業は少ないようでした。

しかし、聞き取りを進めると、観光業や飲食店に大きな影響が出ていることが見え始めて、「つぶれそうな飲食店にはお金を貸さない」といった話も聞こえてきました。日田支部会員に飲食店は少ないですが、「一生懸命にやっているところを救いたい」と会員企業で昼の弁当数をまとめて、地域の商店街連合会へ注文するようにしました。テスト販売では100食ほどの弁当注文があり、ある飲食店の経営者からは「飲食宿泊業の現状を知ってもらい、市内の企業に支えてもらえるのはありがたい。回復した時には一緒に街を元気にできればと思う」という言葉がありました。

小・中学校などの臨時休業に対応する保護者支援として、以前からの子ども連れ出勤に加え、子どもの世話をするための一時帰宅や時差出勤に、全額給与を支給することにした会社もあります。「家で1人留守番をさせるのは心配だけど、事務所では皆が見てくれるので心強いです。目の届くところにいるので安心できます」と言った声を社員の方から聞くことができました。

条例で深まる地域のつながり

日田市に中小企業振興基本条例が制定されたのは2017年12月。しかし十分に活用できずにいました。

2019年に開催された第49回中小企業問題全国研究集会で長崎県大村市の取り組みを知り、7月に日田市職員や日田支部幹事を中心に大村市を視察しました。「思った人から始めるんですよ」というアドバイスを受け、「推進会議の下に専門部会の設置を提案して、市長提言をしていこう」と日田支部幹事が決意しました。そして専門部会が設置され、いくつかの提言がなされました。

よい経営環境をつくるために地域の中小企業や行政、金融機関や教育機関などが積極的に連携し、課題を解決しようとすることで、地域に認められる存在となります。日田市中小企業振興基本条例があったから、そして会員が増えたからこそ、今回のように他団体とも協力して環境改善に取り組むことができていると日田支部では捉えています。自分たちの行動が、危機的状況にある地域の経済と雇用を守ることにつながると願っています。

「中小企業家しんぶん」 2020年 4月 5日号より