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「緊急事態宣言」発令~生命、生活とともに自由と権利を守る意識も

 政府は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法に基づいて緊急事態宣言を発令しました。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象地域に、5月6日までの約1カ月としたものです。

 3月15日の本欄では、「経済のグローバル化が危機のグローバル化を引き起こす」ことを指摘しました。今その「危機のグローバル化」が、さらにまた「経済危機のグローバル化」を増幅させる構図にあると言えます。同友会の中でも、今回の問題はリーマン・ショック以上に企業経営に大きな打撃をもたらすであろうことが、その広がりの早さと深刻さを含めて語られています。

 大和総研によると、日本の実質GDP(国内総生産)は、世界的な感染症の広がりがこの6月前後で収束に向かうと想定した場合でも、「この問題が起きなかった時と比べて、21.7兆円(4.1%)程度、減少」を見込み、仮に「欧米での流行が2020年中続くというリスクシナリオでは、わが国の実質GDPは同じく40.4兆円(7.6%)程度、減少する」(4月3日「コロナ・ショックと世界経済」熊谷亮丸)としています。リーマン・ショック後の2009年の実質GDPは、27.1兆円(5.4%)のマイナスでしたから、緊急事態宣言が出された現況を考えると、さらに厳しい先行きがうかがえます。

 さて、この緊急事態宣言をめぐっては、経済面だけでない問題が潜んでいます。宣言の対象地域の知事は、特別措置法により医薬品などの強制収容ができ、臨時医療施設設置のための土地・建物の使用は所有者の同意がなくとも可能であるなど、強制力を伴う措置をとることができます。また同法は、運送事業者などにも言及しています。業種によっては日常の経営に大きく影響する場合もあり、さらに、応じない場合は罰則規定もあります。

 一方、同法第5条では、「国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない」としています。憲法の権利規定を軽々に制限することがあってはなりません。

 この「国民の自由と権利」に関しては、以前から有識者による発言もされてきました。緊急事態宣言が出された日には、「自由や権利の制限はあくまで一時的、例外的なものであり、制限されることに私たち自身が慣れてしまうと、少しぐらいなら我慢するといった空気が出来上がってしまう。そうした副作用を意識しなければいけない」(4月7日、NHK NEWS WEB、山田健太)との指摘も報道されました。

 学校の休業によって、子どもたちのストレスも蓄積しています。その解消のためには、音楽や絵画などの文化に触れたり身体を動かすなど、生活に変化をもたせる工夫も必要です。生命と生活を守る行動をとりつつも、私たちは自由と権利の制限に「慣れて」しまってはなりません。

(Y)

「中小企業家しんぶん」 2020年 4月 15日号より

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