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【同友会景況調査(DOR)概要(2020年1~3月期)】新型コロナ大不況、中小企業を存亡の危機へ

〈調査要項〉

調査時点 2020年3月1~15日
調査対象 2,345社 回答企業 930社(回答率39.7%)(建設業174社、製造業291社、流通・商業263社、サービス業190社、その他12社)
平均従業員数 (1)38.1人(役員含む・正規従業員)(2)27.5人(臨時・パート・アルバイト)
※業況判断DI(デフュージョン・インデックス)は、好転企業が悪化企業を上回っている割合(%)をさす。DIが100に近いほど、好転企業の割合が高いことを意味し、DIが~100に近いほど、悪化企業の割合が高いことを意味している。
 好転・悪化が同数の場合は、DIは0となる。ほかの指標のDIも同じ考えで作成されている。各水準DI以外、本文中特に断りがないものは前年同期比。

リーマン・ショック以上の打撃の可能性

 3月9日に内閣府が発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、年率換算でマイナス成長の7.1%減となりました。また、日銀の3月短観(全国企業短期経済観測調査)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)は前回調査から8ポイント悪化のマイナス8で7年ぶりのマイナス転落、大企業非製造業も12ポイント悪化のプラス8となり、11年ぶりの悪化幅となりました。中小企業の景況感も一段と悪化しています。世界中が新型コロナウイルス感染症の脅威に揺れ、日本経済においてもリーマン・ショック以上の打撃となる可能性もあります。

各指標で軒並み大幅悪化

 DORでも業況判断DI(「好転」-「悪化」割合)は△13→△31、足元の業況を示す業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)も△3→△23と大幅に悪化(図1)、すべての業種、地域経済圏、企業規模において悪化しました。それだけではなく、次期(2020年4~6月期)においては一段と悪化する見通しで、苦境突破への対策を早急に進める必要があります。

 業況判断DIを業種別でみると、建設業は△4→△15、製造業は△25→△39、流通・商業は△16→△34、サービス業は1→△28と全業種で悪化、なかでもサービス業が著しく落ち込みました。

度重なる困難で採算にも打撃

 売上高DI、経常利益DI(両指標ともに「増加」-「悪化」割合)も△10→△27、△11→△25と大幅悪化となりました(図2)。採算面では仕入単価DI、売上・客単価DI(両指標ともに「上昇」-「下降」割合)で37→27、12→6と下降し、採算水準DI(「黒字」-「赤字」割合)も35→16と大幅に下落しました。消費増税と米中貿易摩擦により弱っていた日本経済に、新型コロナウイルスの影響が加わり、より深刻なダメージとなってしまいました。

 生産性でも1人当たり売上高DI、1人当たり付加価値DI(両指標ともに「増加」-「減少」割合)いずれも△22、△21と前期から15ポイントを超える減少幅となり、採算面への影響が危惧されます。

金融支援策の情報収集と整理を進め、速やかな資金調達対策を

 売上、業況の悪化を反映して、資金繰りDI(「余裕」-「窮屈」割合)は8→3とわずかに余裕感が失われました。特に、製造業(0→△6)では東日本大震災時以来9年ぶりの窮屈超過となりました。今期の資金調達環境には大きな変化はみられませんでしたが、今後は深刻化することが予想されます。早急にさまざまな金融支援策の情報収集と整理を進め、対策を講じていくことが必要です。(図3)

景況悪化、雇用・設備投資にも影響

 正規従業員数DI、臨時・パート・アルバイトDI(両指標ともに「増加」-「減少」割合)も前期から4→△5、2→△7と東日本大震災以来のマイナス水準に転じ、所定外労働時間も減少傾向が続いています。このような動きもあり、近年高止まりしていた人材不足感は緩和されました。(図4)

 設備投資については景況悪化を反映してか、設備投資実施割合は41%→35%に下降しただけでなく、「設備投資計画なし」の回答理由で「自業界の先行き不透明」を指摘する割合が20%→25%と上昇したことも注目されます。

今後の難局への備えにシフトする動きも

 経営上の問題点では「民間需要の停滞」(33%→42%)が顕著な上昇をみせ、10期連続で1位だった「従業員の不足」(37%→30%)と入れ替わり、「人件費の増加」(35%→29%)と続きました。

 一方、経営上の力点は「付加価値の増大」、「新規受注(顧客)の確保」が5割超、「情報力強化」や「財務体質強化」、「人件費以外の経費節減」への指摘割合が上昇しました。

 今期、急激な景況悪化と今後の難局を乗り越えるため、多くの企業から具体的な取り組み事例の回答がありました(別枠にて紹介)。現状を冷静に捉え、社内体制を強化し、取引先や同業者、金融機関など関係機関にも協力を求めながら、雇用を守り地域を支える中小企業として連帯の力で危機を乗り切りましょう。(図5)

〈会員企業の実践から(「経営上の努力」記述より)〉

〇新型コロナウイルスの様子をみて対処していくだけで大変だが、工場設備の改善整理を行って作業場所を広くして作業効率を改善した。また、働き方改革や改正健康増進法に対応するために、たばこの禁煙表示や外に喫煙所の用意等を行った。4月から残業や休日労働の調整を行うつもりである(北海道、製造業)
〇人員配置改善を行った。新型コロナによる工事完工量の減少を見すえ、保守業務を受注できるよう体制づくりをはじめた。工事だけに特化せず、さまざまな分野へ広く取り組む(香川、建設業)
〇顧客対応のため時間外労働が常態化していた社員を対象に残業削減を図るため「時差出勤制度」を試行した。時間外労働の上限規制の施行に向けて、多能工化、業務プロセスの改善・設備による効率化・外注化など、可能な限り取り組んでいきたい(和歌山、製造業)
〇新型コロナウイルス騒ぎへの対応として、社員の不安を減少させるために柔軟な働き方、受注停滞時の対応などを伝えた(広島、建設業)
〇建設コストが高止まり状況にあり、プロジェクトが進まない上に、景気感が不安定で経営者の決断が遅れ気味になっている。そのため、新規営業に力を入れている。また、省人化やテレワークなど働き方の見直しに入っている(愛知、サービス業)

「中小企業家しんぶん」 2020年 5月 5日号より

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